2002 Fiscal Year Annual Research Report
コンビナトリアルバイオコンバージョンによる新規生理活性物質ライブラリー創製の試み
Project/Area Number |
14656046
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
神崎 浩 岡山大学, 自然科学研究科, 助教授 (60183787)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁戸田 照彦 岡山大学, 機器分析センター, 助手 (80284090)
|
Keywords | 二段階発酵 / Dehydrophenylahistin / Phenylahistin / 抗腫瘍活性 / 寒天培養 / 糸状菌 / 放線菌 |
Research Abstract |
本来生物が生産しない化合物を生物変換で合成する研究は,生理活性物質生産において幾つか知られている。しかしこのような反応は,目的物が決まった上で選抜されたものであり,ランダムにバイオコンバージョンを行い,その結果得られる化合物群をライブラリーとする研究はほとんど行われていない。現在の医薬などの生理活性物質探索では,ハイスループットスクリーニング(HTS)が全盛であり,そのための化合物ライブラリーの構築が不可欠とされている。そのためにコンビナトリアル合成が行われているが,これもあくまで構造予測のうえでのライブラリー構築である。そこで,本研究では,2種類の生物の持つ二次代謝産物生産能を組み合わせて,1種の生物では生産不可能な化合物を合成する『コンビナトリアルバイオコンバージョン』という手法の基礎的な検討を行った。我々は既に,糸状菌Aspergillus ustusが生産する細胞分裂阻害物質phenylahistinを放線菌Streptomyces albulusが有している環状ジペプチド脱水素酵素系で処理すると,出発物質のさらに1000倍以上も強力な活性を有する新規化合物dehydrophenylahistinが生成することを明らかにしており,本年は,この反応をより効率よく行う技術開発を試みた。これまでは酵素として無細胞抽出液,基質として精製したphenylahistinを使用してきたが,phenylahistinが寒天培養で特異的に生産されることに着目し,2種の微生物を寒天培地上で培養し,途中で微生物を移し替える培養法を試みたところ,目的物質の生産が可能となった。本方法は非常に簡便であり,多種の生物への応用が可能であることから,コンビナトリアルバイオコンバージョンによる新規ライブラリー構築が期待できる
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Hiroshi Kanzaki, Satohiro Yanagisawa, Teruhiko Nitoda: "A novel potent cell cycle inhibitor dehydrophenylahistin--Enzymatic synthesis and inhibitory actinvity toward sea urchin embryo--"Journal of Antibiotics. 55・12. 1042-1047 (2002)
-
[Publications] 神崎 浩: "環状ジペプチド脱水素酵素で新規生理活性物質を作る"バイオサイエンスとインダストリー. 60・7. 26-29 (2002)
-
[Publications] 神崎 浩: "酵素による生理活性物質生産と情報科学の接点"日本農芸化学会誌. 76・6. 539-541 (2002)