2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14656060
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 健 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90192484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井出 雄二 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90213024)
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Keywords | 種子散布 / 重力散布 / 山地斜面 / 遺伝構造 / ミズナラ / ウダイカンバ / 風散布 / 動物散布 |
Research Abstract |
ミズナラについて,埼玉県西部にある東京大学秩父演習林31林班の標高約1100mに位置し,針葉樹人工林に囲まれて孤立した根元部約0.3haの広葉樹二次林を調査プロットとして設定し,毎木調査,位置図の作成等を行い,基礎データを整備すると同時に,プロット内および,プロット周辺の人工林内の実生の探索,測量,標識を行い,プロット内に28本の母樹候補の成木と,約330個体の実生を記録した.27/28林班界周辺の,入川山地帯天然林生態系試験地およびその斜面上部と下部において,既設の標高約900mから標高約1550mまでの斜距離1450mの実生トランセクトの両外側1m幅におけるブナ科実生の分布を継続して記録した.ミズナラの個体識別が可能だと期待されるマイクロサテライトマーカーの秩父個体群における遺伝的多型性の確認作業を進めている.植生調査および実生の記録に,備品として購入した高精度測量システムと自作傾斜計を用いた.樹冠部の試料収集,飛来花粉採取等のための作業機器を準備した.ウダイカンバについては,同演習林18,19林班の林齢の異なる3箇所のプロットと,標高約2000メートルの稜線を挟んで約20km離れた山梨県三富村の林分から試料を収集して,マイクロサテライトマーカーおよびRAPDマーカーによる遺伝分析を行い,地理的な構造を確認した.また,北海道富良野市の東京大学北海道演習林の林相の異なる8箇所の林分間で,同じ手法によって遺伝的分化を分析し,秩父と同等の20km前後の範囲であっても,遺伝的に均質であることを確認した.大型の種子を重力散布と動物散布によって分散させるミズナラと,小型の種子を風散布によって分散させ埋土休眠の種子も更新に貢献している可能性が指摘できるウダイカンバの比較によって,大型樹木個体群の遺伝構造の決定に重力散布が果たす役割を解明するための研究手法を開発しつつある.
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Research Products
(1 results)