2004 Fiscal Year Annual Research Report
陸と海のはざまの森林生態学:海浜林における植物-動物関系
Project/Area Number |
14656065
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡慶次 睦範 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (30291983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 直哉 京都大学, 大学院・農学研究科, 講師 (10221821)
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Keywords | 海浜植物群集 / 動物-植物関係 |
Research Abstract |
1.東アジア暖温帯海浜林と熱帯海浜(マングローブ)林における植物-動物関係のデータ収集・整理を継続した。各種情報量をさらに増やすために天草下島北西部の海浜群落(暖温帯海浜林)およびスラウェジ北部の海浜林(熱帯マングローブ林)にてサンプリングを行った。主要樹種における植食性昆虫データの集積については同定も含め今後も続ける必要があると判断された。 2.天草下島の海浜林のうち前縁部に存在するハマボウにつき、昆虫による食害の動態を明らかにするため、蕾、花および果実に関する定量的な調査とデータ解析を進めた。蕾、花、果実の総計12109個について調べた結果、過半数(76%)が寄生による食害の影響を受けていると認められたが、そのうち59%では寄生が存在しなかったため特定が不可能であり、16%の1944個が鱗翅目幼虫Dichocrocis surusalisによる寄生を受けていることが判明した。後者の寄生率の時間的変化について見ると、蕾および花に関しては7月から10月にかけて緩い変動を伴いながら下降していく状況がみられ、12.9%から9.3%の間で寄生が観察された。個々の木を単位とした寄生率解析では、木毎の花・蕾の量と寄生率との間に有意な相関は見られなかった。 3.マングローブ林における食植性昆虫による食圧を明らかにする目的で、特にマングローブ林前縁部のSonneratia albaの枝先端部の葉を重点的にサンプリングし、被食量の測定を試みた。データのデジタル化がさらに必要である。また、昆虫によるマングローブ植物の利用を潜在的に左右する要因として葉上および葉中の塩分量が考えられるので、その測定を試みた。
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