2002 Fiscal Year Annual Research Report
誘電法による植物体内水分計測と水分の物理化学的特性
Project/Area Number |
14656095
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
筑紫 二郎 九州大学, 生物環境調節センター, 教授 (00127458)
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Keywords | TDR / ナス / 含水率 / 誘電率 |
Research Abstract |
本研究では,土壌の水分計測に有効で,電磁波の誘電特性を利用した非破壊的な水分計測法であるTDR (Time domain reflectometry)法を用いて,逐次的に青果物体内の水分変化を測定することを目的とした。 供試材料には市販のナス果実を用いた。含水率の計測は,TDR法および,乾燥法によって行った。また,実験開始時および終了時に光学顕微鏡により,ナス果実の細胞を観察した。 乾燥法,すなわち,重量変化のみから算出した含水率の経時変化をみると,経過時間と含水率には非常に高い負の相関が認められた。しかし,誘電率の経時変化をみると,誘電率と経過時間の間には相関がなく,2日目までは経過時間に伴い誘電率は減少したが,それ以降は増加に転じた後,ある一定の値で推移した。これらの結果から,収穫後のナス果実の生体内では蒸散による水分損失が起こる一方で,呼吸により水分の供給が常に行われることにより,体内水分があるレベルで維持されることが示唆された。これが明らかになれば,水収支からみる,呼吸と蒸散の関係なども明らかになる可能性があると思われる。また,光学顕微鏡の観察により,新鮮なナス果実では細胞間が非常に密接しており,細胞間隙がほとんど見られないのに対し,実験開始より5日経過した果実では,細胞間隙が大きく肥大しており,また,細胞自体も大きくなっていたことが確認された。現段階では,細胞間隙の有無と誘電率変化の関係は明らかではないが,今後検討する予定である。
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