Research Abstract |
オーエスキー病は,アルファヘルペス亜科に属するオーエスキー病ウイルス(PrV)の感染により発症するブタの感染症で,幼齢はしばしば致死性であり,また,妊娠豚では,死産・流産となる.成豚では,一過性症状を示すが,ウイルスキャリアーとなる.前年度は,オーエスキー病に対する経口免疫法の確立を目的とし,PrV感染細胞の経胃投与による免疫効果を検討し,オーエスキー病ウイルス(PrV)感染細胞の経口投与により,致死量のPrVウイルスの攻撃からマウスを防御できることを明らかにし,それが細胞性免疫誘導によることを示唆するデータを得た.本年度は,これらの結果を踏まえ,gDなどの単一PrV蛋白を用いて粘膜免疫によるTh1誘導を試み,さらに,PrV抗原遺伝子を実際に作物に導入し,得られた組換え植物を家畜に投与し,免疫原性を検討すると共に,PrV感染に対するワクチン効果を検討することを目標とした.はじめに,PrVのgD遺伝子フラグメントを得るため,PrV Bucharest株のBamHI-7(6.8kb)をBHVtkのBglII切断部位に挿入し,BamHIで切り出しpUC19プラスミドにサブクローニングしたpL19(大塚治城博士より分与)より,宝社製LA-Taqを用いてgDのアミノ酸コード領域を増幅し,pCR2.1にクローニングした.得られたgD遺伝子をEcoRIにより切断し,動物細胞発現用のpcDL-SRα296ベクターに挿入し,gDの発現を抗gD抗体で検出したところ,特異蛍光を認めず,得られたgD遺伝子に変異がある可能性が示唆された.gD遺伝子の塩基配列の確認を進めたが,GC含量が高く,最終的に塩基配列の確認に至らなかった.また,PrVの経鼻免疫により,CT非添加条件でも,抗体産生を誘導することを確認したが,致死量のウイルス感染に対しては,防御することは出来なかった.
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