2003 Fiscal Year Annual Research Report
家畜モデル動物を用いた量的経済形質原因遺伝子同定のためのゲノムシフト戦略の確立
Project/Area Number |
14656114
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 義之 京都大学, 農学研究科, 教授 (10041013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 幸雄 京都大学, 農学研究科, 助手 (10252496)
山田 宜永 京都大学, 農学研究科, 助教授 (40253207)
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Keywords | モデル動物 / OLETF / QTL / コンジェニック / ENU-mutant / 脂肪蓄積 / ポジショナルキャンディデート / クローニング |
Research Abstract |
【コンジェニック系を用いた分析系】肥満型OLETFラットでの筋肉内脂肪蓄積に関わる、第1染色体上のQTLについて、コンジェニック系統(F344.OLETF(Chr1))を用いたファインマッピング解析を行ったところ、D1Rat225とD1Rat90の間の2.8cMのゲノム領域に当該QTLが存在することが明らかにされた。このゲノム領域をゲノムシフトアプローチにより検索した結果、3個のポジショナルキャンディデート(Pnlip・Pnliprp1・Pnliprp2遺伝子)が得られた。そのうち、腸管からの脂肪吸収に関わるPnlipおよびPnliprp2遺伝子は、コード領域について変異は見られないものの、コントロールのF344およびF344.OLETF(Chr1)に比べOLETFで若齢時離乳直後の膵における発現レベルが増加および減少しており、有望な候補となると考えられた。Pnlip遺伝子については、〜4kbの5'上流隣接領域および〜13.1kbのエクソン/イントロン領域をOLETFとF344でシーケンスし、多型について解析した。その結果、転写開始点の上流〜3.4kbの位置に、OLETFの方でリピート数が多いVNTR多型が、およびイントロン6上に、OLETFでAC2塩基が欠失している多型とCがGへと置換している多型が検出された。Pnliprp2遺伝子についても、〜6.4kbの5'上流隣接領域および〜17.6kbのエクソン/イントロン領域を解析したところ、イントロン7、8、9および11上に、それぞれ、OLETFでTがAへと、TがCへと、GがTへと置換している、およびA1塩基が挿入している多型が検出された。そこで、当該QTLで、OLETFとは異なるアリルを有することがQTL解析により判明しているBNとLETOについても、PnlipおよびPnliprp2遺伝子の発現レベル解析および上記多型部分のシーケンス解析を行った。その結果、両遺伝子についての発現レベルの変化はOLETF特異的であること、Pnlip遺伝子のVNTR多型のみがOLETFに特異的な多型であることが明らかになった。Ins1遺伝子では、プロモーター領域に同様なVNTR多型が存在し、それが骨格筋、脂肪組織および膵での発現レベルに影響を及ぼすことで量的形質である糖尿病発症につながっているらしいとの報告がなされており、今回の発見は興味深い点である。 【ENU-mutantを用いた分析系】ENU-mutantであるDBF1について、体重、生殖器脂肪量および腎周囲脂肪量を測定し、最長筋内脂肪量の解析を実行中である。
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[Publications] Yamada, T.: "Aspects and prospects of QTL analysis for marbling gene."J.Anim.Genet.. 30. 21-28 (2003)
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[Publications] Tanomura, H.: "A congenic strain (F344.OLETF-Imfm) displays the existence of intramuscular fat accumulation QTL on rat chromosome 1."Exp.Anim.. 52. 303-308 (2003)
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[Publications] Muramatsu, Y.: "Capn10, a candidate gene responsible for type 2 diabetes mellitus in the OLETF rat."IUBMB Life. 55. 533-537 (2003)
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[Publications] Ogino, T.: "Serum leptin concentration is linked to chromosomes 2 and 6 in the OLETF rat, an animal model of type 2 diabetes with mild obesity."Mamm.Genome. 14. 239-244 (2003)
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[Publications] Oishi, M.: "Generation of a total of 6,483 expressed sequence tags from 60 day-old bovine whole fetus and fetal placenta."Anim.Biotechnol.. In press.
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[Publications] Muramatsu, Y.: "Chromosomal mapping of HSPCB and MYL1 expressed abundantly in the bovine fetus."Anim.Biotechnol.. 14. 83-86 (2003)
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[Publications] Yamada, T.: "Genetic dissection of non-insulin-dependent diabetes mellitus in the OLETF rat. In Animal Frontier Sciences, (Eds.) Sato, E., Miyamoto H., Manabe N."Hokuto Shobo, Kyoto, Japan. 8 (2003)