2002 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞のアポトーシス誘導による抗血管新生療法の開発
Project/Area Number |
14656115
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
奥田 潔 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40177168)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 栄 岡山大学, 理学部, 助教授 (20226989)
|
Keywords | 血管新生 / 血管内皮細胞 / アポトーシス / ウシ / 黄体 / Fas / Fasリガンド / サイトカイン |
Research Abstract |
血管新生は、正常個体において個体の発生や発育にとって不可欠の生命現象である。しかし、悪性腫瘍において、血管新生は病態の進行と密接に関連しており、血管が腫瘍細胞への栄養供給路としてだけではなく、腫瘍の転移および浸潤などに重要な役割を果たしていることが明らかにされている。そのため、抗血管新生療法の開発が強く望まれている。本年度は、血管新生制御法の開発に血管新生が正常個体において定期的に行われる黄体から得た血管内皮細胞を血管新生のモデルとして用いることができるかどうかを検討するために、(1)Fas mRNA発現および、(2)サイトカインのFasを介したアポトーシスにおよぼす影響について検討した。 1.RT-PCRによりウシ黄体由来血管内皮細胞にFas mRNA発現が証明された。 2.血管内皮細胞を培養し、腫瘍壊死因子(TNFα)、インターフェロン(IFN)-γおよびFasリガンド(Fas L)を単独または組み合わせて添加した。その後、血管内皮細胞の細胞死およびアポトーシスの指標となるアポトーシス小体ならびにDNAの断片化についてそれぞれ検討した。その結果、TNFαとFas Lの組み合わせ添加は17%の細胞死を誘導し、IFN-γおよびTNFαとFas Lの組み合わせ添加では32%の細胞死を誘導した。さらに、これらの添加区においてアポトーシス小体ならびにDNAの断片化が顕著に認められた。 以上の結果から、ウシ黄体の血管内皮細胞にはFasを介したアポトーシス制御機構が存在し、血管新生制御法を開発するための研究材料として有用であることが示唆された。今後、TNFα、IFN-γ以外のサイトカイン、成長因子などの生理活性物質についても検討する予定である。さらに、血管内皮細胞にFas遺伝子導入を行うことによるアポトーシス誘導モデルの作出を検討中である。
|