2002 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患におけるNOD2遺伝子の役割:ノックアウトマウスの作製による検討
Project/Area Number |
14656122
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀 正敏 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70211547)
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Keywords | NOD2 / TLR / Cytokine / Crohn's disease / inflammation / macrophage / LPS |
Research Abstract |
NOD2は、LPS受容体として知られるToll-like Receptor (TLR)と同様にロイシンリッチリピート構造(LRR)を持ち、またnucleotide binding domain(NBD)と、これとリンクするcaspase recruitment domain (CARD)を持っている新規遺伝子である。NOD2の変異がクローン病と関連することが近年報告され注目されているが、NOD2の生理機能は全く明らかではない。本研究では、細胞レベルならびに個体レベルでNOD2遺伝子をノックダウンし、NOD2のTLRとの相互作用や、下流のサイトカイン産生など、NOD2の生理機能を解明することを目的とした。 初年度は、NOD2遺伝子の全クローニングを開始した。RT-PCR解析より、NOD2遺伝子の発現が乳腺組織由来RNAに最も多く発現していたことから、これを材料にLRR, NBD, CAERDの各パーツごとにクローニングを行った。一部のパーツに関しては同じNODファミリーであるNOD1を確実に識別できるNOD2特異的プライマーの設定が困難であり、研究進行が遅延している。そこで、同時に、細胞レベルでのNOD2ノックダウンを並行して行った。マウス由来の培養マクロファージ(RAW264.7)を用いて、RNAi法を用いてNOD2のノックダウンを試み、NOD2の発現を70-80%抑制した細胞を得た。現在、LPS、LTA、PGN刺激によるサイトカイン産生への影響などについて検討をしている。また、RAW264.7細胞を用いて、LPS、LTA、PGN刺激によりNOD2 mRNA発現が増加するかについても検討した。結果、LTA刺激によりNOD2 mRNA発現量は刺激後4時間をピークに増加した。LPS刺激においては弱いながらも類似した成績が得られ、PGNはNOD2mRNA発現に影響しなかった。すなわち、TLR2あるいはTLR4受容体を介したNOD2発現調節機構の存在が示唆され、NOD2とTLRとの相互作用についてさらに検討を加える予定である。
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