2002 Fiscal Year Annual Research Report
疲労の古典的条件付けとその成立に関与する脳内物質の検索
Project/Area Number |
14657018
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片渕 俊彦 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (80177401)
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Keywords | 中枢疲労 / 条件づけ / Poly I : C / 無条件刺激 / 条件刺激 / サッカリン水 / テレメトリー / セロトニン |
Research Abstract |
本研究の目的は、ラットを用い、中枢性疲労の古典的条件づけを試み、その成立によって、脳内に疲労または疲労感の発現に関与する神経回路が存在することを示し、さらに、条件づけの成立に関与する物質を同定することである。本年度は、Poly I : Cの腹腔内投与を無条件刺激(US)に、サッカリン水を条件刺激(CS)にして、UCSによる活動量の低下が、CSによって誘発されるか否かを検討した。 ラットの腹腔内に送信器を留置し、テレメトリーシステムで体温、および自発活動量を持続的に測定した。すべてのラットに1日30分間の制限飲水(9:30〜10:00)を2週間以上行い、制限飲水に慣れさせた。トレーニング日にラットを2群にわけ、Paired群には、水の代りにサッカリン水を与え、その直後にPoly I : C (1mg/kg)を腹腔内投与した。Unpaired群は、通常通り水を与えてPoly I : Cを投与した。Poly I : C投与後、両群で体温が一過性に上昇し、自発活動量はその後2日間は低下した。トレーニング日の4日後をテスト日とし、Paired群に水の代わりにサッカリン水を与えたところ、体温が一過性に有意に上昇し、その後自発活動量の低下が約1日間観察された。一方、Unpaired群にも、サッカリン水を与えたが、発熱、および自発活動量の低下は観察されなかった。従って、発熱とともに、活動量の低下が条件づけされたと考えられた。これまで、発熱の条件づけは、すでに報告があったが、疲労の条件づけは報告がない。今後、条件づけに関与する脳内生理活性物質について、まずセロトニン系の関与を検討する予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kondo, T. et al.: "Stem cell factor modulates paired-pulse faciliation and long-term potentiation in the hippocampal mossy fiber-CA3 pathway in mice"Brain Res.. 946. 179-190 (2002)
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[Publications] 片渕俊彦: "ストレスと免疫"Minophagen Medical Review. 47(5). 213-224 (2002)
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[Publications] 片渕俊彦: "疲労の条件づけとセロトニン"医学のあゆみ. 204(5). 331-338 (2003)
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[Publications] Katafuchi, T. et al.: "ADVANCES IN BEHAVIORAL BIOLOGY vol.53, Catecholamine Research : From Molecular Insights to Clinical Medicine"Kluwer Academic/Plenum Publishers, New York. 558 (2002)
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[Publications] 片渕俊彦: "脳機能の解明 生命科学の主潮流"ガイア出版会. 570 (2002)
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[Publications] Katafuchi, T. et al.: "Cytokines and the Brain. Neuroimmune Biology"Elsevier Science B, V., Amsterdam(in press). (2003)
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[Publications] 片渕俊彦: "ストレスの事典"朝倉書店(in press). (2003)