2002 Fiscal Year Annual Research Report
新しい抗ストレス因子フラノン系物質の高次ホメオスタシス機能に及ぼす影響
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14657019
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
粟生 修司 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 教授 (40150908)
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Keywords | ラクトン / フラノン / オープンフィールド試験 / ストレス / 強制水泳試験 / 水迷路試験 / 視床下部 |
Research Abstract |
内在性フラノン物質である2-buten-4-olideがストレス性胃粘膜障害を抑制することがすでに報告されているが、我々は腹腔内投与でモリス水迷路における空間学習を改善することを見出した。そこで、同系等の物質である植物由来のラクトン系物質の中枢作用を検討した。本年度は疲労に及ぼす影響および視床下部ニューロン応答を中心に調べた。強制水泳後にオープンフィールド試験を行うと著明な活動抑制が認められるが、強制水泳後に樹木由来のラクトン物質および緑葉由来の香り物質を5分間暴露すると移動距離が増加した。通常のオープンフィールド試験で移動量、立ち上がり回数及び時間、グルーミング回数及び時間、さらに中央エリアへの進入潜時、進入回数、滞在時間を測定したが、すべての行動指標で有意の差は認められず、強制水泳後の活動抑制のみ軽減した。 ウレタン麻酔下のウィスターラットを用いて、樹木由来ラクトン物質および緑葉由来の香り物質に対する視床下部外側野のニューロン応答を調べたが、行動実験で効果が認められる0.03%から3%の濃度では応答するニューロンが記録できなかった。麻酔による応答率の低下が考えられ、無麻酔条件での記録が必要と思われる。そこで、予備実験として無麻酔サルの視床下部外側野ニューロンの植物の香りに対する応答性を調べた。オレンジ、ボルネオール、アミルアセテート(バナナ臭)のような植物の香りに対してブドウ糖感受性ニューロンは35%から50%以上の応答性を示したが、ブドウ糖非感受性ニューロンはその半数以下の反応性しか示さなかった。一方、ムスクやトリメチラミン(腐敗臭)やトリメチルピリジンといった植物と関係のないニオイに対して両群とも約30%の反応率を示した。ラクトン物質および緑葉由来の香り物質の効果を調べるために、現在サルを訓練中である。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] Li X-L et al.: "Spatial memory deficit and emotional abnormality in OLETF rats"Physiol.Behav.. 75. 15-23 (2002)
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[Publications] Sano K et al.: "Concentration effects of green odor on event-related potential (P300) and pleasantmess"Chem Senses. 27. 225-230 (2002)
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[Publications] Li.X-L et al.: "Impairment of long-term potentiation and spatial memory in leptin receptor-deficient rodents"Neuroscience. 113. 607-615 (2002)
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[Publications] Aou S et al.: "Orexin effects on Morris water maze performance and CA1-schaffer collateral LTP and LTD"Neuroscience. (In press). (2002)
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[Publications] Kawai K et al.: "Fetal exposure to bisphenol A induces aggressive behavior in pubescent male mice"Environmental Health Perspective. 111. 175-178 (2003)
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[Publications] Kubo K et al.: "Low Dose Effects of Bisphenol A on Sexual Differentiation of the Brain and Behavior in Rats"Neurosci Res.. (In press).
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[Publications] Birt D et al.: "Intracellularly recorded responses of neurons of the motor cortex of awake cats to presentations of Pavlovian conditioned and unconditioned stimuli"Brin Res.. (In press). (2003)
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[Publications] 粟生修司: "摂食行動の生化学"産科と婦人科. 69・2. 145-152 (2002)
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[Publications] 粟生修司 et al.: "環境適応としてのストレス反応と心身症:その脳内機序"ストレス科学. 17. 15-22 (2002)
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[Publications] 粟生修司 et al.: "内分泌撹乱物質の脳機能への影響と心身症への関与"ガイア出版会. 570 (2002)
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[Publications] 粟生修司 et al.: "情動と生理.心身医学標準テキスト・第2版"医学書院. 350 (2002)
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[Publications] 粟生修司 et al.: "認知科学辞典"共立出版. 1015 (2002)
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[Publications] 粟生修司: "視床下部:生命現象の司令塔-内分泌系と神経系の接点"文光堂(印刷中). (2002)