2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14657020
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 教授 (10232745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芹野 良太 産業医科大学, 医学部, 助手 (00309957)
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Keywords | 脳神経 / 血液脳関門 / 血管内皮細胞 / 酸化ストレス / 低酸素 / 浸透圧 / アドレノメデユリン / 培養細胞 |
Research Abstract |
一般に脳では血液脳関門(blood-brain barrier : BBB)により血管内物質の侵入が防御されている。BBBは、脳血管内皮細胞、血管傍細胞およびグリア細胞足突起から構成されている。我々は、培養系で人工的BBBを再構築することに成功している。ラット脳血管内皮細胞が大量のアドレノメデユリンを産生・分泌していることに注目して、BBBにおけるアドレノメデユリンの役割について検討した。その結果、以下の点を明らかにした。 (1)酸化ストレス、低酸素によりBBBは傷害を受けることはよく知られている。人工的BBBを用いて、過酸化水素刺激による人工的BBBの傷害度(指標としてBBB内外の電気抵抗およびアポトーシスを調べた)に対するアドレノメデユリンの作用を調べた。その結果、アドレノメデユリンの培養液中への投与により過酸化水素刺激による人工的BBBの傷害度が有意に抑制された。この効果は、細胞内ミトコンドリアの機能保護に依存することも明らかにした。 (2)BBBを強固にするというアドレノメデユリンの脳血管内皮細胞への保護作用は、細胞内F-アクチンの細胞内分布を変化させることによる可能性を見出した。 (3)ラット脳脊髄液を採取して、脳脊髄液中のアドレノメデユリンを測定した。2%高張食塩水をラットに飲水負荷すると5日目および7日目の脳脊髄液中のアドレノメデユリン濃度はコントロールと比較して有意に増加した。この時、血液中のアドレノメデユリン濃度は有意に変化しなかった。 培養系での人工的BBBおよびin vivoの実験により脳内アドレノメデユリンがBBBに対し保護作用を持つこと、さらに脳内でのアドレノメデユリン産生は末梢と異なる機序で制御されていることを明らかにした。
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[Publications] Kis, B.et al.: "Chronic adrenomedullin treatment improves blood-brain barrier function but has no effects on expression of tight junction proteins."Acta Neurochirurgica. 86(suppl). 565-568 (2003)
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[Publications] Kis, B.et al.: "Adrenomedullin, an autocrine mediator of blood-brain barrrier function."Hypertension Research. 26(Suppl). S61-S70 (2003)
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[Publications] Chen, L. et al.: "Disassociated increases of adrenomedullin in the rat cerebrospinal fluid and plasma after salt loading and systemic administration of lipopolysaccharide."Peptides. (in press).