2002 Fiscal Year Annual Research Report
久山町におけるレビー小体型痴呆とアルツハイマー病の臨床病理学的検討
Project/Area Number |
14657047
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩城 徹 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40221098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清原 裕 九州大学, 医学部附属病院, 講師 (80161602)
飯田 三雄 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00127961)
古田 晶子 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (50229118)
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Keywords | 痴呆疾患 / レビー小体型痴呆 / アルツハイマー病 / レビー小体 / 有病率 / 加齢 |
Research Abstract |
一般住民でのLewy body (LB)の出現率を明らかにし、LB病理所見とAlzheimer disease (ATD)病理所見の関係を検討する目的で、本年度はまず1998年10月〜2001年3月(2.5年)の間に死亡し、九州大学で剖検を施行した久山町一般住民連続102例(剖検率:70.5%)を神経病理学的に検討した。その結果、LB病理所見を102人のうち23人(22.5%)に認めた。痴呆者29人中では12人(41.4%)、非痴呆者73人中では11人(15.1%)であった。加齢に伴いLB病理所見の出現率の上昇を認め、特にDementia of Lewy body (DLB)は70歳代から90歳代の間に7.1%から21.7%まで有病率が上昇していた。強いATD病理所見は102人中17人(16.7%)、痴呆29人中14人(48.3%)に認めた。有LB病理所見者ではATD病理所見が重度であると軽度の場合に比べ有意にLB scoreが上昇していた。ATD所見を伴うDLB群(cDLB)と伴わないDLB群(pDLB)では、痴呆発症年齢、死亡年齢に有意差を認めないものの、痴呆罹患期間に関してcDLBはpDLBよりも有意に短かった。またcDLBはpDLBに比し短期間内にLB scoreの上昇を認めた。さらにcDLBはpDLBに比し痴呆発症後の累積生存率の低下を認め、5年生存率はpDLBが80.0%で有るのに比しcDLBでは14.3%であった。今回の結果で、ATD病理所見が重度であれば軽度の場合に比し、短期間内にLB scoreが上昇し、生存率も低下するという強い相関関係を認めた。このことは加齢とともにATD病理所見がLB病理所見の進展に強く関わっていることを示唆している。以上の結果を第32回米国神経科学会にて発表した(2002年11月6日)。
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