2002 Fiscal Year Annual Research Report
RNAヘリカーゼと癌関連遺伝子の発現に関する機能解析と分子イメージング
Project/Area Number |
14657061
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Research Institution | Gifu International Institute of Biotechnology |
Principal Investigator |
赤尾 幸博 (財)岐阜国際バイオ研究所, 部長 (00222505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 均 (財)岐阜国際バイオ研究所, 研究員 (30303548)
臼倉 治郎 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30143415)
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Keywords | RNAヘリカーゼ / DEADボックス蛋白 / c-myc mRNA / 大腸腫瘍 / C型肝炎 / 翻訳開始 |
Research Abstract |
近年、RNAの構造を変える酵素群RNAヘリカーゼ(2本鎖高次構造を1本鎖mRNAに巻き戻す)がウィルスからヒトに至る多くの生物でDEAD (Asp-Glu-Ala-Asp)ボックス蛋白として発見されてきた。各々のヘリカーゼはmRNAのスプライシング、翻訳、そしてリボソームの合成など多彩な機能を持っており、どのようにして作用すべきRNA分子を認識しているのか、どのようなRNAを基質としているのかは今後の課題である。我々は、1992年、t(11;14)(q23;q32)転座(B細胞悪性リンパ腫の5%)を有するB細胞リンパ腫株より、11q23に局在する転座標的遺伝子RCKを世界に先駆け見い出した(Cancer Res.1991,1992)。この遺伝子は悪性リンパ腫における11q23転座の責任遺伝子と考えられている。RCKcDNA塩基配列のホモロジー検索でDEADボックス蛋白(RNA helicase family)であることが示された(Cancer Res.,1992)。免疫グロブリン重鎖遺伝子との転座によりRCK遺伝子発現が脱制御され、過剰発現することが腫瘍化に関連することが明らかになった。臨床面では大腸腫瘍の腺腫において発現の亢進が観察され、癌では約50%の高率でrck/p54の過剰発現を認めている(Brit. J. Cancer,1999)。大腸腺腫ではrck/p54蛋白とc-myc蛋白が共高発現していることを見い出した。さらにヒト大腸癌細胞株にRCK遺伝子を導入し、rck/p54蛋白を高発現させるとc-myc mRNAの翻訳効率を上げ、c-myc蛋白の合成を促進させることが明らかになった(Carcinogenesis,2001)。さらにrck/p54蛋白の過剰発現とC型肝炎の重症度、さらに肝癌との発症の関連が示された(J. Viral Hepatitis, in press)。このような所見からrck/p54蛋白のc-myc mRNAへの結合及びc-myc mRNA構造に対する修飾を調べるため、精製したrck/p54蛋白、in vitroで生成したc-myc mRNAを用いて生化学的及び形態学的手法により検討した。その結果、rck/p54はRNAの構造を巻き戻す活性を有し、c-myc mRNAの構造を変え、翻訳効率を上げ、c-myc蛋白合成を促進していることが示唆された。RCK遺伝子のこのような機能は特定の遺伝子発現の効率を著しく高めることができ、今後mRNA修飾酵素として遺伝子治療を含め各分野への応用が期待できる。
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[Publications] K.Miyaji, Y.Nakagawa, K.Matsumoto, K.Katsu, Y.Akao: "Overexpression of a DEAD box/RNA helicase protein, rck/p54,in human hepatocytes from patients with hepatitis C virus-related chronic hepatitis"J. Viral Hepatitis. (in press). (2003)