2003 Fiscal Year Annual Research Report
パルボウイルスB19によるG2期停止/アポトーシス誘導機構と宿主特異性因子の研究
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14657072
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅村 和夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20117360)
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Keywords | ヒトパルボウイルスB19 / 細胞周期停止 / p21 / WAF1 / 赤芽球系細胞 |
Research Abstract |
ヒトパルボウイルスB19の唯一の感染標的細胞は赤芽球である。B19ウイルスは赤芽球へ感染し、細胞周期停止とアポトーシスを誘導することによって、赤血球分化を抑制し、貧血をもたらす。本研究では、このようなB19ウイルスによる宿主細胞への影響を解析するために、B19ウイルスに高感受性のエリスロポエチン(Epo)依存性赤芽球系細胞株UT7クロン(UT7/Epo-S1)を樹立した。これまでUT7/Epo-S1細胞にB19ウイルスを感染させると細胞周期のG1期とG2期の両期で停止がみられ、G1期停止にはB19ウイルスの非構造蛋白質NS1が必須であること、G2期停止はNS1を発現できない不活化ウイルスによっても誘導されることを明らかにしてきた。本年度は、先ず、NS1によるG1期停止のメカニズムを詳細に調べた。その結果、293T細胞にNS1遺伝子導入をすると細胞周期抑制因子として知られているp21/WAF1発現が誘導され、このp21/WAF1発現誘導がSp1転写因子の活性化を介していることを明らかにした。すなわち、NS1がSp1に会合し、p21/WAF1プロモーターの活性化が惹起されていることが分かった。さらに、p21/WAF1欠損細胞ならびに、p21/WAF1特異的siRNAを用いたp21/WAF1発現欠損あるいは低下した条件下では、NS1遺伝子導入によるG1期停止が解除されることを明らかにした。以上の結果から、NS1によるG1期停止はp21/WAF1発現誘導を介していることが示唆された。他方、G2期停止に関わるウイルス側因子として、アデノ随伴ウイルスの場合のようにウイルスDNA末端のヘピン構造が重要であることが推察された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Chisaka, H., Morita, E., Tada, K., Yaegashi, N., Okamura, K, Sugamura, K.: "Establishment of multifunctional monoclonal antibody to the nonstructural protein, NS1. of human parvovirus B19."J.Infection. 47. 236-242 (2003)
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[Publications] Morita, E., Nakashima, A., Asao, H., Sato, H., Sugamura, K: "Human parvovirus B19 non-structural protein (NS1) induces cell cycle arrest at G1 phase."J.Virol.. 77. 2915-2921 (2003)
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[Publications] Kanazawa, C., Morita, E., Yamada, M., Ishii, N., Miura, S., Asao, H., Yoshimori, T., Sugamura, K.: "Effects of deficiencies of STAMs and Hrs, mammalian class E Vps proteins, on receptor downregulation"Bioch.Biophys.Res.Comm.. 309. 848-856 (2003)