2002 Fiscal Year Annual Research Report
病院医療における患者代弁者の役割機能に関する国際比較
Project/Area Number |
14657092
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上原 鳴夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80144286)
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Keywords | 患者代弁者 / 医療消費者 / 患者教育 |
Research Abstract |
平成14年度は米国の病院における患者代弁者について現地調査を計画していたが国際情勢の不安定化により現地調査が不可能となったため、資料収集により患者の視点についてアメリカを中心に文献レビューを行った。 ・米国のピッカー研究所では患者が受ける医療サービスの中で特に「経験」の側面に焦点を当てて、患者や医療従事者の満足度調査を実施している。これらにより明らかになった「患者の視点で考える医療」の7つの側面を中心に、患者に調査を行い、長期にわたってモニタリングとベンチマーキングを実施可能にしている。患者のニーズを明らかにし、医療提供者の教育と医療の質改善にあたって優先順位をつけている。また退院計画について患者教育用教材(ビデオ)を作成している。医療提供者に対しては患者を中心とする医療の環境作り、「アクションキット」として提供している。 ・メイヨークリニックでは患者教育センターで患者が学べるよう、図書室があり、展示品が置かれており、喘息、乳がんの自己健診など特定の新患について教室が開催されている。 ・オーストラリアでは政府が医療制度全段階における医療消費者運動強化を目的に政府が資金供与して医療サービスの計画から実施、評価に至るまで情報の統合、提供を行っている。 ・マサチューセッツ総合病院ではペイシャントアドボケイトルームで患者の権利に関する情報提供を行うと同時に苦情処理も実施している。 また患者家族学習センターでは訓練された職員がいて様々な言語で教材を備え、サポートグループ、子供の学習コーナー、地域で提供される資源や病院の情報提供などを行っている。 以上の内容から、アメリカやオーストラリアでは患者も医療に参与しやすいような仕組みや様々な学習環境作りが幅広く実施されており、そのような基盤の上に患者代弁者活動が実施されている。我が国の今後の医療を考える上で大きな示唆を含んでいると言える。
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