2003 Fiscal Year Annual Research Report
外国人雇用企業における労働者の勤務状況と健康に関する研究
Project/Area Number |
14657100
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
城 憲秀 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (10137119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井谷 徹 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00072661)
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Keywords | 外国人雇用 / 健康管理 / 健康状態 / 疲労 / 職業ストレス / 異文化 / 労働観 / 労働条件 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に実施した質問紙調査の結果分析を行うとともに、人事労務担当者および労働者に対する聞き取り調査を実施した。聞き取り調査は人事労務管理者6名、外国人労働者5名、日本人労働者2名に対して実施した。 労働者向け質問紙調査の結果を要約すると以下のようであった。1)外国人労働者の主観的健康観は日本人労働者に比べて良好だが、CFSIの結果から日本人では一般的疲労感の訴えが高く、外国人では不安感やイライラの訴えが高いことが認められた。2)人事労務担当者向けの調査から同一職場では日本人と外国人で労働条件に差はないが、労働者向け調査によると日本人労働者は外国人労働者に比べて労働条件に対する不満が高かった。3)同じ作業グループの日本人労働者と外国人労働者のつきあいは挨拶や仕事上最低限度の会話をするにとどまっている。4)外国人は日本人に対して高い評価をしており親しくしたいと考え、自分たち外国人が日本の企業で快適に働くために、日本の会社の慣習を自分たちが理解する必要を感じ、健康保険、雇用保険、労災保険等社会保障制度の説明の充実を求めている。5)日本人は意志疎通の困難、言葉の壁があること、仕事に対する考え方の違いを認識しているが、外国人との関わりには消極的であり、外国人とともに働くための企業の配慮に対する認識や期待が乏しい。 聞き取り調査では、外国人労働者はさまざまな事情や背景を持っていることが明らかになった。一般的には定住化傾向であるといわれているが、今回の調査では、外国人労働者の日本で働く目的や定住化希望などには個人差があった。また日本の職場の慣習・文化を理解しようとしていた。日本人労働者は外国人雇用を会社の方針として認識しており、人事労務担当者は外国人雇用にあたり、様々な配慮を行っていた。外国人のニーズの多様性や、日本人と外国人の相互の認識の違いなどに着目した配慮は不充分であることが推測される。
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