2003 Fiscal Year Annual Research Report
Th2型炎症制御機構に対する転写抑制因子BCL6の役割
Project/Area Number |
14657146
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
福田 健 獨協医科大学, 医学部, 教授 (90088873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有馬 雅史 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (00202763)
福島 康次 獨協医科大学, 医学部, 講師 (00254996)
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Keywords | Th2サイトカイン / 気管支喘息 / IL-5 / BCL6 / 転写抑制 / ケモカイン |
Research Abstract |
気管支喘息は、慢性気道炎症疾患の一つであり、Th2型細胞は、気道過敏性、好酸球炎症を誘導し喘息の病態に極めて重要と考えられることから、Th2細胞の分化およびサイトカインの産生機序の研究が数多く行われている。本研究ではTh2型軌道炎症の分子メカニズムの解明を目的に研究を行った。 (1)我々は、転写抑制因子であるBCL6のノックアウトマウスで、肺、心臓の好酸球性炎症とTh2型サイトカインの産生増強、BCL6トランスジェニックマウスでは、その産生が低下することに注目した。本研究では、BCL6の標的遺伝子の一つがIL-5遺伝子であることを見いだした。(2)Th2型気道炎症には、局所へのTh2細胞の特異的遊走が必須であることから、我々は、Th2細胞に対して強力なケモカインであるMDCの作用に注目し、PGD2のTh2型炎症制御作用に注目し、PGD2の気道上皮細胞に対するMDCの誘導作用を転写レベル見した。また、抗原感作マウスでは喘息性気道反応を起こさない低濃度の抗原チャレンジに対してPGD2を吸入前投与すると気道上皮細胞のMDCの産生、気道過敏性、好酸球性気道炎症および気道内Th2サイトカインの産生の増加を認めた。さらにこれらの現象は、抗MDC抗体の経静脈的前投与により抑制された(投稿中)ことから、新たな概念として、頻回のアレルゲン暴露による肥満細胞の活性化はPGD2によるMDCの産生を介してTh2型気道炎症を制御するとを明らかにした。 (3)MDC遺伝子のプロモーターにBCL6の結合する可能性のある塩基配列を認め、BCL6の標的遺伝子である可能性が考えられたが、BCL6ノックアウトマウスのマクロファージのMDCの産生は正常マウスと明らかな違いを認めなかったことから、今のところ、MDC遺伝子に対するBCL6の制御にかんしては明らかでない。現在、気道上皮細胞や樹状細胞のMDC産生について解析中である。 以上のことは、BCL6はTh2サイトカインの中で少なくともIL-5を遺伝子レベルで制御調節して好酸球性炎症を制御することを明らかにした。このような研究成果は単に気管支喘息の治療法の開発につながるばかりか、アレルギー性疾患の発症メカニズムの解明にもつながることが期待できる点において大変重要である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Honda, K., et al.: "Prostaglandin D2 reinforces, Th2 type inflammatory responses of airways to low-dose antigen through bronchial expression of macrophage-derived chemokine."J.Exp.Med.. 198. 533-543 (2003)
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[Publications] Chibana, K., et al.: "Up-regulation of cysteinyl leukotriene 1 receptor by IL-13 enables human lung fibroblasts to respond to leukotriene C4 and produce eotaxin."J.Immunol.. 170. 4290-4295 (2003)
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[Publications] Arima, et al.: "A putative silencer element in the IL-5 gene recognized by Bc16."J.Immunol.. 169. 829-836 (2002)