2003 Fiscal Year Annual Research Report
筋ジストロフィーの中枢神経障害:ジストロフィン複合体と相互作用する分子の解明
Project/Area Number |
14657158
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
武田 伸一 国立精神・神経センター, 神経研究所・遺伝子疾患治療研究部, 部長 (90171644)
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Keywords | α1-syntrophin / ジストロフィン / mdx mice / DMD / アクアポリン-4 / 2-hybrid法 / ABCA1 / コレステロール輸送 |
Research Abstract |
Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)は、しばしば知的障害を見るが病理学的には特異的な異常はなく、その分子機構は明らかではない。ジストロフィン結合タンパク質の一つα1-syntrophinは中枢神経系に豊富に発現し、ジストロフィン欠損に伴い発現が低下するが、PDZドメインを介し膜の機能分子と相互作用をする可能性がある。 本研究では第一にYeast Two-Hybrid Systemを用いα1-syntrophinと相互作用する機能分子の検索を行った。その過程で、baitとして用いた同分子のPDZドメインは、リポーターであるGAL4遺伝子に対し自己活性能を持つため、これを用いた検索が困難であることが明らかになった。そこで、中枢神経系でα1-syntrophinと複合体を作る水チャネルAquaporin-4のC端をbaitとし、1 x 10^6クローンに対し相互作用タンパク質を検索をした。得られた陽性コロニーを解析したところ、同分子はα-CateninやVinculinと高い相同性を持つα-Catulinに対し強い相互作用を示した。そこでα-Catulinに特異的な抗体を作製しその局在を調べたところ、同分子はユビキタスな発現パターンを示し、骨格筋においてはα1-syntrophinなどと共に形質膜に発現することが明らかになった。 一方、京都大学に植田らは脳に発現し、コレステロールやリン脂質の輸送に関連したATP-binding cassette transporter A1 (ABCA1)についてYeast Two-hybrid systemを用いて相互作用する分子について検討を進めたところ、同分子のC端がα1-syntrophinのPDZ domainと相互作用することが明らかになった。そこで、我々の研究グループと共同でマウスの脳からABCA1とα1-syntrophinが免疫学的に共沈することを確かめた。両者の相互作用が機能的にどのような意味を持つのか興味深い(J.B.C.2004 in press)。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hirata A, Masuda S, Tamura T, et al.: "Expression profiling of cytokines and elated genes in regenerating skeletal muscle following cardiotoxin injection : a role for osteopontin."Am J Pathol. 163(1). 203-215 (2003)
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[Publications] Munehira Y, Ohnishi T, Kawamoto S, et al.: "Alpha 1-syntrophin modulates turnover of ABCA1."J Biol Chem. (Epub ahead of print). (2004)
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[Publications] Nishiyama A, Endo T, Takeda S, et al.: "Identification and characterization of ε-sarcoglycans in the central nervous system."Mol Brain Res. (in press). (2004)
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[Publications] 武田伸一: "筋ジストロフィーの遺伝子治療"脳と発達. 36. 117-123 (2004)
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[Publications] 武田伸一: "筋ジストロフィー治療法研究の進歩-筋ジストロフィーに対する幹細胞を用いた治療に関する基盤的研究-「脳科学研究の現状と課題 -脳とこころの病気の解明はここまで進んだ-」"じほう. 161-174 (2003)