2003 Fiscal Year Annual Research Report
飛行時間型質量分析(DE MALDI TOF/MS)のリピドーシス診断への応用
Project/Area Number |
14657186
|
Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
山口 清次 島根大学, 医学部, 教授 (60144044)
|
Keywords | 飛行時間型質量分析計 / MALDI TOF-MS / スフィンゴ脂質 / リピドーシス / 先天代謝異常 / 神経変性 |
Research Abstract |
平成15年度、飛行型質量分析計(MALDI TOF-MS)をスフィンゴリピドーシスの診断・病態解明への目的に応用する試みを行い以下のような成果を得た。 1)硝子体混濁を合併したGaucher病患者の硝子体中の脂質をMALDI TOF-MS分析を行った。患者でceramide monohexoside(CMH)のピークが明瞭に検出され、コントロールでは検出感度以下であった。sphingomyelinのピークは両者にみとめられ、Gaucher病患者の硝子体にCMHが蓄積していたことを示している。Gaucher病患者の硝子体中のCMHの蓄積を報告したのは本報告が初めてである。また硝子体中に蓄積したCMHの分子種(脂肪酸構成)には、肝臓、皮膚線維芽細胞、血清とは異なる特徴がみとめられた。 2)うっ血性心不全のため心臓弁置換術を受けたFabry病男性患者の大動脈弁と僧房弁から脂質を抽出しMALDI TOF-MS分析を行った。内部標準物質としてリゾスフィンゴミエリンを加え、組織中のceramide trihexoside(CTH)の定量分析を試みた。Fabry病で蓄積するCTHは標準物質を用いて定量を試みたたところ、CTHの検量線は直線性を示した。少なくとも組織中CTHは半定量評価のできることを確認した。Fabry病患者の心臓弁中のCTH含量の増加を定量的に評価することができた。 以上の結果、MALDI TOF/MSはリピドーシスの診断に使用できることを確認した、そして以下の点ですぐれていると思われる。a)分析の感度が非常によく、微量のサンプル中の脂質を分析することが可能である。b)スフィンゴ脂質の量のみならず分子種(スフィンゴ脂質中の脂肪酸構成)も知ることができる。本分析法は、臨床医学の分野への応用が十分に期待できる。
|
Research Products
(2 results)