2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞性担体を用いた新規腫瘍特異的遺伝子治療の開発(腫瘍低酸素を標的とした放射線治療効果の選択的増強)
Project/Area Number |
14657213
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柴田 徹 京都大学, 医学研究科, 助手 (40293857)
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Keywords | 低酸素 / 遺伝子治療 / 細胞療法 / レトロウイルスベクター |
Research Abstract |
腫瘍特異的な低酸素環境において、選択的に遺伝子発現を達成するためのベクターシステムを開発に取り組んだ。ヒト血管内皮細胞増殖因子遺伝子の調節領域を応用した独自の発現ユニットを利用した。汎用のヒト培養癌細胞Hela, HT1080を用いたルシフェラーゼアッセイにおいて低酸素による高い発現誘導を認めた。同様の方法で血球系の培養細胞THP1,HL-60を用いて一過性導入を試みたが、リポフェクションによる導入効率が低く、満足な結果が得られなかった。そこで、低酸素誘導性のレトロウイルスベクターの作成を行った。低酸素に応答したコンディショナルな遺伝子発現を達成するために、通常の恒常的発現を目的としたレトロウイルスではなく、Self-inactivating typeのpSIRを選択した。このベクターを培養系において感染させ、G418により選択し、得られたクローンを用いて反応性を調べた。特にヒト単球系由来のTHP-1に着目し、低酸素に対する反応とともにTPA刺激による影響をみた。18-24時間の低酸素培養により約千倍のルシフェラーゼ活性の誘導効率を示し、TPAによりさらに3-10倍の増強を認めた。このことは単球からマクロファージへの分化刺激により低酸素誘導性遺伝子発現が増加する可能性を示している。また別に低酸素領域を陽性描出する試みとしてGFP発現ベクターを作成し、培養細胞Be11に導入した。FACSを用いての解析で、in vitroの好気的条件では殆ど蛍光を示さないが、低酸素により選択的なGFP発現の増強を示す細胞株を樹立した。ヌードマウス移植腫瘍モデルにて適切な励起光と光学フィルターの利用により、非侵襲的に生体腫瘍内での緑色蛍光の描出が可能であった。このことは、腫瘍内に我々の低酸素応答性ベクターの転写活性化に十分な低い酸素分圧の組織が存在することが示された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Shibata, A.J.Giaccia, J.M.Brown: "Hypoxia-inducible regulation of a prodrug-activating enzyme for tumor-specific gene therapy"Neoplasia. 4. 40-48 (2002)
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[Publications] D.Vordermark, T.Shibata, J.M.Brown: "Green fluorescent protein is a suitable reporter of tumor hypoxia despite an oxygen requirement for chromophore formation"Neoplasia. 3. 527-534 (2001)
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[Publications] T.Shibata, A.J.Giaccia, J.M.Brown: "Development of a hypoxia-responsive vector for tumor-specific gene therapy"Gene Ther. 7. 493-498 (2000)
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[Publications] J.Sugawara, D.S.Suh, G.H.Faessen, T.Shibata, et al.: "Regulation of insulin-like growth factor-binding protein-1 by nitric oxide under hypoxic conditions"J Clin Endocrinol Metab. 85. 2714-2721 (2000)
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[Publications] T.Shibata, et al.: "Enhancement of gene expression under hypoxic conditions using fragments of the human vascular endothelial growth factor and the erythropoietin genes"Int J Radiat Oncol Biol Phys. 42. 913-916 (1998)