2004 Fiscal Year Annual Research Report
てんかん原性皮質形成異常におけるCl^-ホメオスタシスとGABA機能異常の分子機構
Project/Area Number |
14657229
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
福田 敦夫 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 教授 (50254272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 順子 静岡大学, 大学院・電子科学研究科, 助手 (30334965)
井上 浩一 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 助手 (80345818)
窪田 寿彦 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 助手 (80377746)
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Keywords | グリシン / クロライドトランスポーター / カハールレチウス細胞 / 細胞移動 / GABA / 皮質形成異常 / てんかん / リーリン |
Research Abstract |
1.ヒト皮質異形成組織標本におけるreelin遺伝子発現変化の解析(福田、井上):Reelinは大脳皮質第一層に存在するCajal-Retzius細胞から分泌され、大脳皮質の神経細胞の配置決定に重要な役割を果たしていると考えられる。大脳皮質形成異常は発生異常に基づく神経細胞の配列や形態異常などの組織像を示すので、難治の部分てんかんに対する外科治療により摘出された皮質形成異常標本を用いてreelin遺伝子の発現変化をin situ hybridization組織化学法を用いて検討した。コントロールとして摘出標本内の組織学的な形成異常がない部位を用い、比較定量的な解析を行ったところ、reelin mRNAが形成異常部位において有意に減少していた。 2.皮質形成異常動物モデル標本を用いた異常層構造形成過程の解析(福田、井上、窪田、Luhmann):異常な皮質層構造の形成過程における興奮性GABA/グリシン作用の要因について検討するため、ラットの皮質凍結損傷モデルを用いて、異常皮質形成過程で損傷部位へ移動中の細胞におけるGABA_A受容体、グリシン受容体、Cl^-トランスポーターのmRNAの発現量変化をin situ hybridization法を用いて解析した。凍結損傷4日後の移入細胞でNKCC1が増加、逆にKCC2が減少しており、[Cl^-]_i上昇の原因と考えられた。これらの変化は細胞移入時期に一過性であった。また、正常ではグリシン受容体α2 subunitは発達と共に減少するが、凍結損傷部位への移入細胞では著明に増加していた。逆に、発達と共に増加するGABA_A受容体サブユニットは減少傾向にあった。また、凍結損傷部位におけるreelin mRNAの発現は細胞死に伴い消失したが、異常皮質の形成中はreelin陽性細胞は出現せず、形成後に周囲の辺縁帯からの移入とともに、reelinは周囲と同等レベルに回復した。
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Research Products
(9 results)