2002 Fiscal Year Annual Research Report
bFGF遺伝子を導入したヒト脂肪前駆細胞を用いた脂肪組織の再生
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14657282
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲本 俊 京都大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10135577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 大典 京都大学, 医学部附属病院, 助手 (70324621)
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Keywords | 脂肪組織再生 / 塩基性繊維芽細胞増殖因子 / basic fibroblast growth factor / 遺伝子導入 / 組織幹細胞 / vascular-stroma細胞 |
Research Abstract |
倫理委員会の承認のもとに術前に患者からの承諾を得て乳癌手術標本から採取したヒト成熟脂肪組織から組織幹細胞を含むvascular-stromal細胞(VS細胞)を分離した。VS細胞はrecombinant bFGF (r-bFGF)を添加すると濃度依存性に増殖し、またアデノウイルスベクターで高率に遺伝子導入が可能であった。そこで、塩基性繊維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor : bFGF)の遺伝子を導入し、増殖、分化に与える影響について検討した。 MTT assayで検討するとbFGF遺伝子導入したVS細胞はコントロールに比べて遺伝子導入後7、14日で有意に増殖しており、r-bFGFをその増殖促進効果がプラトーとなる100ng/mlの濃度で添加した場合に匹敵した。培養上清中のbFGF濃度はELISA法で計測すると14日まで漸増していた。培養液にbFGFの中和抗体を加えた増殖阻止実験ではr-bFGFを加えた場合と同様にbFGF遺伝子導入されたVS細胞の増殖も完全に抑制されていた。遺伝子導入後3日目にinsulin、dexamethazone等を含む脂肪への分化培地に変更にすると、それ以降の増殖は認められなくなり、培養上清中のbFGF濃度は漸減した。脂肪滴を持ち形態的に脂肪細胞へ分化した面積をNIH imageを用いて計測するとbFGF遺伝子導入群で有意に増加していた。 以上の結果から、bFGF遺伝子導入したVS細胞は発現したbFGF蛋白がautocrine機構で作用して増殖していると考えられ、生体に移植した場合、周囲組織に対する影響が少なく、遺伝子導入されても脂肪細胞への分化能を保っており、また、脂肪への分化することで増殖が制御されるので、脂肪組織再生の細胞源として安全で有用であると考えられる。
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[Publications] Yamashiro H, Inamoto T, Yagi M, Kato H, Takeuchi M, Miyataka S, Tabata Y, Yamaoka Y: "Efficient proliferation and adipose differentiation of human adipose tissue-derived vascular-stromal cells transfected with basic fibroblast growth factor gene"Tissue Engineering. (in press).