2003 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌RNAを導入した樹状細胞による癌ワクチンの開発
Project/Area Number |
14657298
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
江川 新一 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (00270679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 尚治 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (10344673)
砂村 眞琴 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (10201584)
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Keywords | 膵癌 / 樹状細胞 / 腫瘍ワクチン / 抗原提示 / 免疫抑制 |
Research Abstract |
【臨床的背景】研究者らは、肝転移を有する切除不能な膵癌患者において、原発巣に術中照射を施行し、直後に樹状細胞を注入する第1相臨床試験を施行している。現在までに17例に施行し、Grade3以上の副作用なく安全に施行可能であった。17例のなかで肝転移が縮小したと考えられる症例が2例あり、それぞれ16ヶ月、33ヶ月生存した。しかし、大部分の症例は肝転移により死亡しており、樹状細胞による治療群の生存期間中央値は5ヶ月で、対照群と有意差はなく、腫瘍ワクチンとして樹状細胞を用いる方法はいまだ満足すべきものではない。上記の進行膵癌患者では、ツベルクリン反応(以下ツ反)が低下しており、全身的な免疫抑制状態にある。【方法と結果】樹状細胞による効果的な膵癌抗原提示の方法を探究するため、樹状細胞にRNA、BCG蛋白を抗原としてとりこませたときの抗原提示能を測定した。膵癌患者(ツ反陰性)および健常人(ツ反陽性)の末梢血単球から樹状細胞を誘導し、膵癌細胞から抽出したRNAおよびBCG蛋白を添加した樹状細胞をCD4+T細胞と共培養し、T細胞の増殖を刺激する抗原提示能を測定したところ、膵癌患者および健常人由来どちらの樹状細胞を用いてもT細胞増殖への抑制効果はみられず、RNAを抗原としてとりこませた樹状細胞をワクチンとして使用する可能性が示唆された。一方BCG蛋白では健常人由来の樹状細胞を用いても予想されたT細胞の増殖は起きず、メモリーT細胞の活性化をin vitroで測定することとin vivoにおける細胞性免疫の乖離がみられた。樹状細胞とT細胞の混合培養上清中のIL-12の濃度は健常人由来の樹状細胞で高い傾向であった。【考察】膵癌由来のRNAは樹状細胞において腫瘍関連抗原として提示される可能性を秘めている。今後SEREX法などにより膵癌特異的な抗原の探索をつづけるとともに、宿主の免疫抑制状態あるいは治療前後の細胞性免疫の効率的なモニター方法の改善が必要であることが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 江川新一, 砂村眞琴, 他: "膵癌の集学的治療"医学と薬学. 50. 412-420 (2003)
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[Publications] 江川新一, 武田和憲, 他: "わが国の現況-全国膵癌登録から"臨床外科. 58. 1455-1461 (2003)
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[Publications] 砂村眞琴, 江川新一, 他: "膵癌に対する化学療法レジメン-単独および放射線照射療法-"臨床外科. 58. 1075-1080 (2003)
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[Publications] 砂村眞琴, 江川新一, 他: "膵癌に対する化学療法"癌と化学療法. 30. 1901-1908 (2003)
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[Publications] Duda D, Sunamura M, et al.: "Restoration of SMAD4 by gene therapy reverses the invasive phenotype in pancreatic adenocarcinoma cells."Oncgogene. 22. 6857-6864 (2003)
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[Publications] Mikami Y, Takeda K, et al.: "Do peritoneal macrophages play an essential role in the progression of acute pancreatitis in rats?"PANCREAS. 27(3). 253-260 (2003)