2003 Fiscal Year Annual Research Report
DNAトポアイソメレースを用いた脳腫瘍細胞周期解析と治療への応用の検討
Project/Area Number |
14657340
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
若林 俊彦 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教授 (50220835)
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Keywords | DNAトポアイソメレース / 細胞周期 / 脳腫瘍 / オーダーメイド医療 / 悪性度分類 / グリオーマ |
Research Abstract |
抗DNAトポアイソメレースIIα抗体が脳腫瘍の生化学的診断に臨床応用可能かを判定するため、脳神経疾患施設にて経験した症例の摘出組織内のDNAトポアイソメレースIIαを同定し臨床的検討を行なった。さらにDNAトポアイソメレースIIαの経時的な変動と臨床評価との相関性を比較検討する目的で、同一症例での経時的なDNAトポアイソメレースIIαレベルの測定とその病態を解析した。方法として、染色組織において各種神経系疾患【非脳腫瘍疾患、脳腫瘍疾患(グリオーマ系以外の腫瘍も含む)】より採取した組織検体内のDNAトポアイソメレースIIα分布を算定し、組織診断・悪性度との相関関係を比較検討した。また同一症例において経時的に組織内DNAトポアイソメレースIIα陽性細胞率を測定することにより、その臨床的病態変化や治療効果の判定にDNAトポアイソメレースIIαのlabeling index(%)が評価可能かを検定した。その結果よりDNAトポアイソメレースIIαの組織内labeling indexの算定は、グリオーマの診断、治療効果の判定などに有用と考えられる。しかし、その一方で何が起因として細胞の増殖、悪性化などその組織構築に変動が起こるのか、その腫瘍化に呼応してDNAトポアイソメレースIIαを質的変化を誘導する反応が起こり、その先導の一端を担うものは依然として不明である。そのため、腫瘍の種類などの原疾患に拘わらず上昇することがあり、この点は今後のこの疑問の糸口として念頭におくべき問題であることが示唆されている。又、DNAトポアイソメレースIIαの遺伝子発現が癌の増殖機構にも関与している可能性があるのか。特に脳腫瘍(グリオーマ)においてはDNAトポアイソメレースIIαがその増殖に深く関与していることが示唆されており、今後DNAトポアイソメレースIIαの生理的役割の解明はその病態解析に重要な意味を持ってくるものと思われる。
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[Publications] Maeda K, et al.: "Morphological assessment of the development of multinucleated giant cells, in glioma by using mitosis-specific phosphorylated antibodies."Journal of Neurosurgery. 98. 854-859 (2003)