2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期関連分子CDK6による骨・軟骨細胞分化制御機構に関する基礎的研究
Project/Area Number |
14657358
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40282660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小守 壽文 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00252677)
岡山 博人 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40111950)
森 芳久 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (60343141)
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Keywords | 細胞周期 / サイクリン / CDK / 骨芽細胞 / 軟骨細胞 / BMP / 分化 |
Research Abstract |
本年度は、骨芽細胞および軟骨細胞の分化におけるCDK6の役割とその関連シグナル分子について検討した。 1)マウス骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1培養系にBMP-2を加えて分化誘導したところ、G1期に機能する細胞周期関連蛋白の内、CDK6のみが著明に抑制された。 2)アデノウイルスベクターを用いて抑制型SmadであるSmad6をMC3T3-E1細胞に高発現させた状態ではBMP-2によるCDK6の抑制は認められなかった。 3)CDK6 cDNAをMC3T3-E1細胞に導入したところ、低発現細胞ではBMP-2刺激によってALP活性およびオステオカルシンmRNAレベルが著明に促進されたが、高発現細胞ではBMP-2によるこれらの促進効果は殆ど見られなかった。 4)マウス前軟骨細胞株ATDC5においてもITSによる分化刺激によってCDK6のみが抑制された。 5)上流のシグナルを検索するために、p38 MAPK、ERK-1/2、PI3Kのそれぞれの阻害剤であるSB203580、PD98059、LY294002を加えたところ、SB203580によってのみCDK6の発現抑制が回復した。 6)ATDC5にCDK6 cDNAを導入したところ、typeII、type X collagenの発現およびAlcian blue、Alizalin red、ALP染色が、高発現株において低発現株および親株によりも著明に低下しており、CDK6の発現によってATDC5の分化能が著しく抑制された。 以上のことより、骨芽細胞ではSmadシグナルの下流に、軟骨細胞ではp38 MAPKシグナルの下流に、CDK6の発現抑制が存在していることが明らかとなり、CDK6が骨芽細胞および軟骨細胞分化効率を決定する重要な因子である可能性が示された.
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