2002 Fiscal Year Annual Research Report
人工膝関節ポリエチレン摩耗のコンピューターX線計測システム開発
Project/Area Number |
14657362
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小林 千益 信州大学, 医学部, 助教授 (40205464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
縄田 昌司 信州大学, 医学部附属病院, 助手 (70324259)
斎藤 直人 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (80283258)
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Keywords | 人口膝関節置換術 / X線像 / 膝関節 / 放射線学 / ポリエチレン摩耗 / 計測誤差 |
Research Abstract |
[目的]ポリエチレン(以下PE)の摩耗は人工膝関節(以下TKA)の耐用性を制限する最重要危険因子であるが、これまで、術後X線像でその計測ができなかった。我々は、立位膝関節X線前後像で、TKAのPE摩耗を計測する方法を考案した。この新X線計測法は、臨床的問題を高頻度に生じる摩耗を同定するに、十分な精度であった。しかし、この新しいX線計測法は、鉛筆と定規を用いてX線写真上に補助線を引いて計測するものであっため、熟練を要した。今回、これらの問題を解決するために、X線画像をスキャナーで取り込み、その画像をコンピューター上で半自動処理し、PE摩耗を計測するシステムを開発し、精度の検討を行った。 [結果]まず、in vitroでの計測誤差を検討した。荷重試験機に設置した新品のTKAを撮影したX線写真を用いて、開発したシステムでPEライナー厚を計測した。この計測値を、実際のPEライナー厚と比較し、計測誤差を求めた。その結果、この自動計測システムの計測誤差は、熟練した計測者が鉛筆と定規を用いて行った計測と同等で、不慣れな計測者の計測誤差より有意に良かった。 次に、in vivoでの検討を行った。人工膝関節置換術後1ヶ月以内の立位膝関節X線前後像を用いて、同様に開発した計測システムで計測誤差を求めた。その結果、この自動計測システムの計測誤差は、熟練した計測者が鉛筆と定規を用いて行った計測と同等で、不慣れな計測者の計測誤差より有意に良かった。 [結論]開発した人工膝関節ポリエチレン摩耗のコンピューターX線計測システムの計測精度は、熟練した計測者が鉛筆と定規で行う計測の精度と同等であり、不慣れな計測者が行う用手的計測の精度より有意に良かった。本自動計測システムは、計測者間誤差を低下させ、計測再現性を向上させることに有用である。
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[Publications] 大島和也, 小林千益, 高岡邦夫: "オプテトラック人工膝関節置換術とPFC人工膝関節置換術のROMの比較"中部整災誌. 45. 827-828 (2002)
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[Publications] 小林千益, 斎藤直人, 縄田昌司, 堀内博志, 太田浩史, 高岡邦夫: "PFC人工膝関節置換術後立位X線前後像での脛骨側ポリエチレンライナー厚計測の試み"膝. 26. 195-198 (2002)
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[Publications] 小林千益, 斎藤直人, 縄田昌司, 堀内博志, 高岡邦夫: "PFC人工膝関節ポリエチレンライナー厚のX線計測法の精度: in vitroでの検討"中部整災誌. 44. 1379-1380 (2002)
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[Publications] 小林千益, 縄田昌司, 堀内博志, 斎藤直人, 太田浩史, 大鶴 聡, 高岡邦夫, 丸山正昭: "PFC人工膝関節置換術の術後成績"日本人工膝関節学会誌. 31. 35-36 (2001)
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[Publications] 大島和也, 小林千益, 斎藤直人, 縄田昌司, 堀内博志, 太田浩史, 吉村康夫, 高岡邦夫: "オプテトラック人工膝関節置換術とPFC人工膝関節置換術のROM改善度の比較"日整会誌. 76. S451 (2002)
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[Publications] 小林千益, 縄田昌司, 三沢弘道, 吉村康夫, 野村隆洋, 神平雅司, 井上廣司, 太田浩史, 堀内博志, 斎藤直人, 高岡邦夫: "石井良章(編),別冊整形外科42,変形性膝関節症および周辺疾患"高位脛骨骨切り術に対するスリーブブレードプレートの開発. 6 (2002)