2004 Fiscal Year Annual Research Report
人工膝関節ポリエチレン摩耗のコンピューターX線計測システム開発
Project/Area Number |
14657362
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小林 千益 信州大学, 医学部, 助教授 (40205464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 博志 信州大学, 医学部附属病院, 助手 (80377639)
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Keywords | 人工膝関節置換術 / X線像 / 膝関節 / 放射線学 / ポリエチレン摩耗 / 計測誤差 |
Research Abstract |
[目的]ポリエチレン(以下PE)の摩耗は人工膝関節(以下TKA)の耐用性を制限する最重要危険因子であるが、これまで、術後X線像でその計測ができなかった。我々は、立位膝関節X線前後像で、TKAのPE摩耗を計測する方法を考案した。この新X線計測法は、臨床的問題を高頻度に生じる摩耗を同定するに、十分な精度であった。しかし、この新しいX線計測法は、鉛筆と定規を用いてX線写真上に補助線を引いて計測するものであっため、熟練を要した。今回、これらの問題を解決するために、X線画像をスキャナーで取り込み、その画像をコンピューター上で半自動処理し、PE摩耗を計測するシステムを開発し、精度の検討を行った。 [結果]まず、in vitroでの計測誤差を検討した。荷重試験機に設置した新品のTKAを撮影したX線写真を用いて、開発したシステムでPEライナー厚を計測した。この計測値を、実際のPEライナー厚と比較し、計測誤差を求めた。その結果、この自動計測システムの計測誤差は、熟練した計測者が鉛筆と定規を用いて行った計測と同等で、不慣れな計測者の計測誤差より有意に良く、検者間に有意な誤差を生じなかった。 次に、in vivoでの検討を行った。人工膝関節置換術後1ヶ月以内の立位膝関節X線前後像を用いて、同様に開発した計測システムで計測誤差を求めた。その結果、この自動計測システムの計測誤差は、熟練した計測者が鉛筆と定規を用いて行った計測と同等で、検者間に有意な誤差を生じなかった。 さらに、人工膝関節再置換術時に摘出したPE部品の摩耗を直接計測し、再置換術前X線像上の摩耗計測値と比較したが、その誤差は臨床的に問題となる摩耗を計測する上で問題とならない程度であった。 [結論]開発した人工膝関節ポリエチレン摩耗のコンピューターX線計測システムの計測精度は、熟練した計測者が鉛筆と定規で行う計測の精度と同等であり、検者間に有意な誤差がなかった。この自動計測システムは、計測者間誤差を低下させ、計測再現性を向上させ、臨床的に有用性が高いと期待される。
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Research Products
(6 results)