2002 Fiscal Year Annual Research Report
コラーゲンゲル包埋培養軟骨細胞に対する低出力超音波パルスの影響
Project/Area Number |
14657364
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
越智 光夫 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70177244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
錦織 哲也 島根医科大学, 医学部, 講師 (00243436)
安永 裕司 広島大学, 医学部附属病院, 講師 (40253075)
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Keywords | 低出力超音波パルス / 軟骨細胞 / シグナル伝達 / ATP / カルシウム波 |
Research Abstract |
低出力超音波パルスを、関節軟骨欠損に対して行ったコラーゲンゲル包埋自家培養軟骨細胞移植術の術後に体表面から照射することによって、in vivoにおける移植軟骨片の基質産生促進や軟骨片と移植母床間の接着促進効果を調べるのに先立ち、低出力超音波パルスによる細胞間シグナル伝達に関与する因子について調べた。機械的刺激の一つである低出力超音波パルスを軟骨細胞に加えると、細胞内Ca^<2+>濃度が上昇し、それが周囲の細胞に伝わる、いわゆるCa波を引き起こすことが知られている(Parvizi et al. J.Orthop Res,2002)。この細胞間シグナル伝達には、ATPが関与している。軟骨細胞増殖におけるATPの影響について検討した。家兎の膝から関節軟骨を採取後、軟骨細胞を単離し単層培養した。培養開始後2-6日目に1,10,100μMのATPを含んだ培地に1日当たり1分間浸し、その後正常培地で培養し、7日目に細胞数を計測した。また2日目にATPを1,10,100μMを加えたまま培養を続けた群も調べた。ATPを加えなかった群をControlとした。結果:細胞に1分程度ATPを作用させると、細胞増殖が促進された(10,100μMのATP群とControl群に有意差あり)。しかし数日間ATPを含む培地で培養すると増殖が抑制された(100μMのATP群とControl群に有意差あり)。数分程度のATP刺激により発生した一過性のCaイオン濃度の上昇が増殖を促進するが、長期間投与すると細胞内Caイオン濃度の上昇期間が長いため増殖抑制が起こると考えられた。
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