2004 Fiscal Year Annual Research Report
鼻・咽頭・口腔の対向流熱交換の原理を応用した選択的脳冷却法の開発
Project/Area Number |
14657386
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
岡元 和文 信州大学, 医学部, 教授 (60093994)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 浩 信州大学, 医学部, 助教授 (60283264)
関口 幸男 信州大学, 医学部, 助手 (80343193)
|
Keywords | 選択的脳冷却法 / 対向流熱交換原理 / 脳蘇生 / 脳低体温療法 |
Research Abstract |
密着性の高い鼻マスク(ADAMタイプ、Y-101400-00、タイコヘルスケアジャパン)、屋外でも利用できるようにバッテリー式で空気送気ができる移動式加圧人工呼吸器(搬送用人工呼吸器、KV-1、木村医科)、冷水を注入した空気冷却装置(MR 410、F&P)からなる鼻腔・咽頭・口腔への冷気送気システムを作成した。再度、自らが被験者となり冷気送気システムを装着し、送気温10度〜15度および送気温15度〜20度で、作動の有無と安全性と不快度を確認した。長時間の鼻・咽頭への送気は、いずれの温度でも鼻咽頭粘膜の痛みを起こした。温度が低いほど不快度は高く、昨年度のように冷気による鼻・咽頭・口腔の凍傷の危険性はないが、鼻・咽頭・口腔粘膜に好ましい環境ではないと考えられた。鼻・咽頭・口腔の対向流熱交換の原理を応用した選択的脳冷却法の開発には、大量の冷気送気でも鼻・咽頭・口腔粘膜の障害を起こさない冷気送気システムの開発が不可欠である。安全性の上からは、極端な冷気は避けて適度の加湿を加えた大気と同温程度のガス送気が鼻・咽頭粘膜には自然で安全であると思われる。一方、冷気温が低いほど対向流熱交換原理は効果的であるはずである。この点を含め、安全性を考慮したシステムの開発の目途はまだたっていない。発想を転換すると、対向流熱交換原理方式は、脳底部の温度を調節するにはある一定の効果を期待できると思われるが、脳温を最も規定するのは、脳血流温度と脳血流量であり、脳血流温度を調節する全身冷却による脳低体温療法と対向流熱交換原理を応用した局所脳冷却法を併用すれば、より効果的な脳冷却システムが開発できる可能性がある。対向流熱交換原理を応用した局所脳冷却法はある一冷却法としては利用できるかもしれない。より効果的な対向流熱交換原理方式として、気化しやすく不燃性ガスの利用なども考えられる。
|