2002 Fiscal Year Annual Research Report
前庭器官の器官培養技術を応用した有毛細胞、神経節細胞間シナプス再形成の試み
Project/Area Number |
14657429
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
新川 秀一 弘前大学, 医学部, 教授 (90125584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 敏光 弘前大学, 医学部, 助手 (30261449)
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Keywords | 前庭 / 器官培養 / シナプス再形成 / 有毛細胞 / 前庭神経節細胞 |
Research Abstract |
本年度の研究により前庭神経節細胞の単離、培養を安定して行うことに成功した。酵素処理した前庭神経節細胞を機械的に単離し培養液中に神経栄養因子として知られるBDNF, NT-3を添加することでこれらの神経節細胞の生存率を大幅に改善できることが明らかとなった。単離前庭神経節細胞に対するこれらの神経栄養因子の効果はこれまでほとんど報告がない知見である。前庭有毛細胞の器官培養については現時点でいくつかの課題が明らかとなった。数日の培養では有毛細胞の生存が確認しうるがその後形態を維持するのが困難なため通常の光学顕微鏡による観察では有毛細胞自体が生存しているかどうかを確認することが困難となる。また現時点まで有毛細胞の生存率を高める栄養因子等も特定できていない。すでに単離培養に成功した前庭神経節細胞と有毛細胞との共培養も試みているがこれらの間で相互の培養結果に影響を与えているようなデータは得られていない。 来年度の研究課題として立体構造を維持できる可能性のある培地(コラーゲンジェル等)での培養を行いさらには有毛細胞自体の生存率を改善する因子を明らかにしたいと考えている。また現在は試料の摘出の容易さからP5のマウスを用いて実験を行っている。他のいくつかの神経系でシナプスを再形成させうる時期が胎生期または出生早期に限られているとの報告があり、内耳においてもシナプス再形成にはより早い時期の内耳の神経細胞が有効と考えられる。今後、胎児期を含めより幼弱なマウスを用いた培養を検討している。
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