2002 Fiscal Year Annual Research Report
鼻咽腔細菌叢をターゲットとした新しい経鼻免疫法とDrug Delivery Systemの開発
Project/Area Number |
14657438
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山中 昇 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10136963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保富 宗城 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90336892)
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Keywords | 中耳炎 / 動物モデル / シリコン徐放製剤 / メロペネム |
Research Abstract |
急性中耳炎の動物実験モデルとして、チンチラ(Chinchilla langer)の乳突蜂巣(bulla)にH.influenzae(臨床分離株:I-17株)を1×10^6CFU接種した。2日後に鼓膜所見から急性中耳炎の発症を確認し、1)メロペネム(MEPM)の全身投与(腹腔内投与)群、2)注射用メロペネム液の中耳腔内投与群、3)メロペネム・シリコン徐放剤の中耳腔投与群、4)少量(1/2容量)メロペネム・シリコン徐放製剤の中耳腔投与群、5)プラセボシリコン製剤投与群に分け、経時的(6日後、12日後、21日後)に中耳貯留液を採取し、貯留液中の生菌数をカウントし比較した結果、以下の成績を得た。 1.メロペネムの全身投与(腹腔内投与)した群と比較して局所投与群(中耳腔内シリコン徐放製剤留置群)では生菌数の減少が見られた。 2.メロペネム・シリコン徐放製剤を局所投与した群ではメロペネム液を局所投与した群と比較してより高い除菌効果が見られた。 3.メロペネム・シリコン徐放製剤を局所投与した群および1/2容量のメロペネム・シリコン徐放製剤を局所投与した群の両群において同様の殺菌効果が得られた。 以上の結果より急性中耳炎の動物実験モデルでは、メロペネム・シリコン徐放製剤を局所投与した楊合、全身投与と比較して、より高い殺菌効果が得られ、さらに、より少量の抗菌薬でも殺菌効果を発揮できることが示された。従ってメロペネム・シリコン徐放製剤は十分な組織移行濃度が得られにくい中耳腔領域において、少量の薬剤を持続的に作用させることでより高い除菌効果が得られることからも、感染局所におけるDrug delivery systemの有望な一手段となり得ることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shimada J, et al.: "Household transmission of st. pneumoniae among siblings with acute otitis media"Journal of Clinical Microbiology. 40(5). 1851-1853 (2002)
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[Publications] Hotomi, M, et al.: "Intranasal immunization with recombinant outer membrane protein P6 induces specific immune responses against nontypeable Haemophilus influenzae"International Journal of Pediatric Otorhinolaryngology. 65(2). 109-116 (2002)
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[Publications] Hotomi, M, et al.: "Nasopharyngeal carriage of drug-resistant st. pneumoniae in children with AOM evaluated by PCR-based genotyping of PBP"Acta Oto-Laryngologica. 122(1). 72-77 (2002)