2003 Fiscal Year Annual Research Report
網膜神経節細胞蛍光発色マウスの作製と網膜神経節細胞死の新たな評価系の確立
Project/Area Number |
14657443
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
福地 健郎 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (90240770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白柏 基宏 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (50242417)
上田 潤 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員
阿部 春樹 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40018875)
那波 宏之 新潟大学, 脳研究科, 教授 (50183083)
八百枝 潔 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員
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Keywords | retinal ganglion cell death / thy1.2 / EGFP / transgenic mouse / SLO (scanning laser opthalmoscopy) |
Research Abstract |
昨年度に報告した網膜神経節細胞(RGC)特異的マーカーであるThy-1遺伝子プロモーター下に蛍光蛋白(GFP)を発現させRGCが特異的に標識されるトランスジェニック(Tg)マウスを用い、網膜神経節細胞障害モデルのひとつである虚血再灌流モデルを作製し、その眼底蛍光をScanning Laser Opthalmoscope (SLO)を用いて生体下で経時的に撮影し、その眼底蛍光輝度の変化と網膜神経節細胞死の関係を検討した。 本トランスジェニックマウスを用いることで、全身麻酔下でSLOにて同一部位の網膜神経節細胞蛍光発色の経時的な撮影が可能であった。 本トランスジェニックマウスに45分間の一過性虚血を負荷した。虚血解除後4日後から著明に眼底蛍光が減少し、7日後ではさらに減少した。14日後は7日後と比較して著変は認められなかった。眼底蛍光を定量的に評価するため、虚血負荷前をコントロールとしてSLO画像の蛍光輝度を計測した。蛍光輝度は虚血解除後4日後で約65%、7日後では約40%と統計学的に有意な減少を示し、それ以後14日後まで変化はなかった。 また、虚血再灌流モデルにおける網膜神経節細胞の組織学的変化を定量化するため、網膜各層の細胞数を計測し、網膜神経節細胞/外顆粒細胞X100(GCL/ONL比)を算出し、網膜神経節細胞への障害の指標とした。その結果、GCL/ONL比は、虚血負荷前が4.85±0.4であったのに対し、虚血解除後4日で2.73±0.68と統計学的に有意な減少を認め(P<0.05)、7日後、14日後では1.05±0.23、1.10±0.29にまで減少した。 この結果をSLO画像の蛍光輝度の減少と比較検討すると、7日以後の減少率に軽度の差が認められるものの、両者の変化には同様の傾向が認められた。 以上の結果より、本トランスジェニックマウスを用いた眼底蛍光撮影は非侵襲的な新しい網膜神経節細胞死の評価法になると考えられた。
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