2002 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄幹細胞による小腸不全の治療―小腸再生の方法を求めて―
Project/Area Number |
14657455
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
吉野 泰啓 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (50285045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 貴男 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (70343390)
斎藤 拓朗 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (20305361)
星野 豊 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (30295414)
後藤 満一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50162160)
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Keywords | 骨髄幹細胞 / 小腸大量切除 / 短腸症候群 / 小腸上皮 / 再生 / 小腸幹細胞 |
Research Abstract |
これまでに骨髄幹細胞は、心筋細胞、肝細胞、筋細胞などに分化することが明らかとなっているが、小腸に関してはその可能性を検討した報告はない。われわれは小腸の再生を促す治療法の開発に向け、まず小腸上皮細胞へ分化できる幹細胞を同定することを第一の目標とした。 GFPマウスを用い、骨髄からの細胞を、すべて蛍光を発する細胞に入れ替えて実験を行った。すなわち9匹のB6マウスをレシピエントとし,致死量の放射線(1200cGy)を全身照射した後、GFPマウスから分離した骨髄細胞を移植し、これらキメラマウスを移植後3日目、7日目、14日目に3匹ずつ犠死せしめ小腸上皮を観察したところ、移植後7日目において最も多くその小腸上皮に蛍光を発する細胞が存在することを確認した。小腸幹細胞は骨髄から小腸に到達し分化増殖することが示唆された。 さらに別の9匹のキメラマウスに対し小腸大量切除モデルとして70%小腸切除を行い、上記の(小腸切除をしなかった)キメラマウスの小腸上皮との比較を行った。大量小腸切除モデルにおいては小腸の再生機転が働き、小腸幹細胞がより強く増殖することが期待されたが(生存したものはわずか2匹であったためか)蛍光を発する細胞数に有意差を認めなかった。また、骨髄から小腸幹細胞が小腸に到達するなら、これから分化増殖する小腸の吸収上皮細胞、杯細胞、内分泌細胞、Paneth細胞はすべて蛍光を発することとなるが、小腸上皮内に蛍光を発する細胞は予想以上に少なく、来年度はさらなる検討が必要と考えられた。
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