2002 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍における新規血管新生抑制物質PEDFの分解調節とその役割
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14657483
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
森田 育男 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60100129)
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Keywords | 血管新生 / VEGF / Flt-1 / PEDF / 口腔平扁上皮ガン |
Research Abstract |
本申請の目的は、強力な血管新生抑制因子であるPEDFの遺伝子導入による抗腫瘍治療および抗腫瘍薬としてPEDF分解酵素の抑制剤の開発であるが、本年度においては、PEDFの産生調節機序の解明を行った。PEDF産生は主にpost-transcriptionalに調節を受けていると考えられ、得に虚血におけるタンパク分解が主な調節機序であると考えられていた。しかし、口腔ガンを用いた研究において虚血でむしろPEDFタンパク量の上昇が認められた。その機序の解明を行ったところ、口腔ガンで虚血で上昇したVEGFがPEDF産生をtranscriptionalに調節していることが明らかとなった。すなわち、PEDF産生は血管新生促進因子であるVEGFにより、その発現上昇が認められ、その機序としては、VEGF-Flt-1-PEDFであることが明らかとなった。しかも、この機序は口腔扁平上皮ガンだけでなく、網膜色素上皮細胞でも共通であった。このことは、ガンそのものがVEGFという血管新生促進因子とPEDFという血管新生抑制因子をともに産生し、さらにその両者間で調節機序が存在することは、in vivoにおけるガンの増殖、転移を考える上で重要な知見であると思われる。 また、本研究ではPEDFの定量化を目指しており、PEDFタンパクのN末に近い部分とC末に近い部分を抗原とする2つの抗体を用いて、sandwich法によるPEDFのELISA法の確立を試みた。その結果、ng程度までの感度の測定法が出来上がったが、さらなる感度の上昇を目指し、現在新たな抗体の作成を試みている。
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[Publications] Miyagishi D, Amagasa T, Murota S, Morita I: "Regulation of the expression of pigment epithelium-derived factor, an anti-angiogenic factor in human oral squamous cell carcinoma cell lines"Cancer Letter. (in press).
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[Publications] Kyoko Ohno-Matsui, Takeshi Yoshida, Tomoko Uetama, Manabu Mochizuki, Ikuo Morita: "Vascular endothelial growth factor upregulates pigment epithelium-derived factor expression via VEGFR-1 in human retinal pigment epithelial cells"Biochem. Biophys. Res. Commun.. (in press).
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[Publications] WANG J, MORITA I.ONODERA M, MUROTA S: "INDUCTION OF KDR EXPRESSION IN BOVINE ARTERIAL ENDOTHELIAL CELLS BY THROMBIN : INVOLVEMENT OF NITRIC OXIDE"J CELL PHYSIOL. 190. 238-250 (2002)