2002 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄・歯根膜再生に向けた細胞・生理活性因子・遺伝子の局所デリバリー法の開発
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14657495
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
青葉 孝昭 日本歯科大学, 歯学部, 教授 (30028807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田谷 雄二 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (30197587)
島津 徳人 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (10297947)
勝海 一郎 日本歯科大学, 歯学部, 教授 (50120639)
佐藤 かおり 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (90287772)
柳下 寿郎 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (50256989)
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Keywords | 再生 / ラット / 歯髄 / 歯根膜 / 歯槽骨 / 浸透圧ポンプ / サイトカイン / 破歯細胞 |
Research Abstract |
本研究では、外傷あるいは炎症によって損傷を受けた歯髄・歯根膜の構成細胞を再賦活し、あるいは幹細胞を含む細胞集団を補給し、組織局所での細胞増殖・機能を制御する分子ネットワークを調節することにより、組織再生を促すことを長期的戦略とする。本年度では、最初に、ラットの上顎第一臼歯根尖部に浸透圧ポンプ(Alzet osmotic pump^<TM>)を介してポリスチレン製黄色蛍光粒子(3〜10μm)を送り込み、組織内分散状態を共焦点レーザ顕微鏡で観察した。根尖部に供給された蛍光粒子は主に組織間隙と重力方向に依存して槽内中隔の歯槽骨に波及していたが、広く開削された歯根断端から根管内歯髄組織に侵入した粒子は少数に止まることが分かった。μCT法で根尖部へ挿入したステンレス製L字細管を装着状態で臼歯部全域の3次元立体像を構築した。この解析法により、歯根端とL字細管との位置関係、周囲歯槽骨での欠損と骨改造による骨増生を視覚化し、同時に骨構造解析により骨量と骨梁配列を定量解析できた。次いで、浸透圧ポンプより根尖部に生理活性因子を最長14日間送り込んだ実験から、FGF2持続投与により肉芽組織の増生とTRACP陽性細胞の集積、歯槽骨表面での破骨細胞の活性化と骨吸収の亢進が認められた。ヘパリン単独投与群では肉芽組織でのTRACP陽性細胞数の増加をもたらしたが、FGF2/ヘパリン混合投与群では組織内でのFGF2の安定化を反映して、FGF2によるTRACP陽性細胞の集積効果の増強と歯槽骨吸収の波及範囲が拡大した。デキサメタゾン投与群では、炎症抑制効果とともに歯槽骨吸収の抑制効果が顕著であった。本年度の実験から、浸透圧ポンプによる可溶性因子の局所的・持続的投与法が最終的に確立することができ、次年度においては、アンチセンス、レチノイン酸、リポゾームの投与実験を継続し、歯髄細胞の応用の可能性を追及する。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shimazu Y, et al.: "Immunodetection of osteopontin at sites of resorption in the pulp of rat molars"J Histochem Cytochem. 50. 911-921 (2002)
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[Publications] 佐藤俊一郎, 他: "FGF2、heparin、dexamethasone、bisphosphonateによるラツト破骨細胞の分化・活性化の制御:体内埋入型浸透圧ポンプによるラット臼歯根断端部への生理活性因子の持続投与"日歯保存誌. 45. 253-272 (2002)