2003 Fiscal Year Annual Research Report
義歯装着前後におけるADLおよびQOLの改善に関する研究
Project/Area Number |
14657500
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河野 正司 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50014098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 圭介 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30313521)
澤田 宏二 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60313524)
八木 稔 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50157963)
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Keywords | ADL / QOL / 義歯治療 / 食物粉砕率 / 咀嚼能率 / 食塊形成能 / 唾液分泌量 |
Research Abstract |
義歯の装着により、咀嚼能力の回復はもちろん、歯の審美性、あるいは顔貌や表情の回復が図られ、高齢者の生活意欲が向上するといわれているが,明確なエビデンスに乏しい.そこでまず,義歯装着高齢者を対象として,義歯装着前後の咀嚼能力をチェアサイドで客観評価できる方法を開発し、それにより義歯装着の効果を評価した. 食物を咀嚼し嚥下に至る因子としては,食物の粉砕率,唾液分泌量,食塊形成能力などが挙げられる.これまで、粉砕に関しては多くの報告があるが、食塊形成能力の評価は困難であった。新たな咀嚼能力評価法は,吸水性の高い煎餅を咀嚼させて,その初回嚥下までの咀嚼回数によって評価するもので,食物粉砕率と唾液分泌量との間に高い相関性が認められ,食塊形成能力を含めた咀嚼能力の評価が可能になった. この評価法を用いて,年齢76歳の高齢義歯装着者147名を対象にして,義歯装着前後の咀嚼能力を測定し,義歯装着の効果を判定した.被験者の欠損形態は,Eichner分類のA型4名,B型99名,C型46名である. 被検者全員の義歯非装着時の咀嚼回数は平均48.2回,義歯装着時は平均38.2回,咀嚼能力向上率は17.4%であった.このうち欠損歯数の少ないA型では義歯装着による咀嚼能力向上率は-3.6(±17.5)%であるものの,B型では16.2(±18.7)%,C型は21.8(±24.9)%となり,欠損歯数が多く、咬合支持域数も少ない症例ほど義歯装着の効果が有意に向上することが明らかとなった.
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