2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14657501
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鈴木 一臣 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30050058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢谷 博文 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80174530)
田仲 持郎 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40171764)
入江 正郎 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90105594)
吉田 靖弘 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90281162)
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Keywords | 歯科用レジン / 物性改良 / ウレタンジメタクリレート / 酸性モノマー / 共重合 / 光重合 / 機械的強さ / 環境ホルモン |
Research Abstract |
緒言:内分泌撹乱化学物質の一つにビスフェノールA(BPA)があげられており,歯科治療用のレジン系材料の中にもこのBPAを骨格とした化合物(Bis-GMA, Bis-MEPR,ポリカーボネート等)が一部成分として使用されている。このBPAの芳香族環状構造は,材料の物性安定性と向上に極めて重要であることから,我々は分子内にイミノ基およびカルボキシル基を有する2種類のメタクリル系モノマーを共重合することによって分子間で水素結合を形成し,芳香族原子団と同等の効果が発現するものと考えた。 材料および方法:1)共重合体の作製は,ウレタンジメタクリレート(UDMA)とメタクリル酸(MAA)を所定の割合で混合した後,光触媒としてcamphorquinone 0.2%とethyl-4-dimethylaminobenzoate 0.8%を加え,これをテフロンモールドに注入して光照射(TRIAD 2000,Dentsply社)を10分間行った。2)重合率の測定は,フーリエ変換近赤外分光光度計(FT-NIR, Perkin elmer Spectrum 2000)を用いて炭素-炭素間二重結合基の量から求めた。3)機械的強さの測定は,1)で作製した重合体を37℃蒸留水中に24時間浸漬した後,万能試験機(Instron 5565)を用いて三点曲げ試験によって求めた。 結果および考察:UDMA/MAA共重合体の曲げ強さは,UDMAのイミノ基とMAAのカルボキシル基の数が1:1で対応する酸性モノマー分率0.6667付近で最大値250.1±18.3Mpaを示し,それ以上の分率では急激に低下した。一方,光重合挙動の追跡の結果,UDMA/酸性モノマー共重合体の最大到達重合率は,UDMA単独重合体のそれよりも低かった。この結果は,水素結合などの相互作用に基づく1分子のUDMAと2分子のMAAから成るコンプレックス(擬似的な四官能性モノマー)が形成された為と考えている。
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