Research Abstract |
全身臓器から樹状細胞(DC)を樹立するため,p53遺伝子欠損マウスおよび正常C57B1/6マウス由来細胞を用いてin vitroでの解析を試みた.両マウスの肝臓,脾臓,皮膚より細胞を採取し,マグネットビーズにてDEC-205陽性細胞を分離,抽出した後,10%FCS添加RPMI1640培地中で1週間培養した.また両マウス大腿骨骨髄細胞にGM-CSF,IL-4を加えin vitroで1週間培養し,樹状細胞(BMDC)を分化誘導した.培養1週間後,細胞活性をMTT法にて検討し,細胞表面活性化分子(CD80,CD86,E-cadherin,MHC class II)発現をフローサイトメーター(FACS)により解析したところ,両マウス由来DC間に差はみられなかった.さらに,Niによる抗原刺激を両マウスBMDCに対して加えた後,細胞表面活性化マーカー発現を検討し,培養上清中のサイトカイン(IL-12,IFN-γ)量をELISA法にて測定したところ,p53遺伝子欠損マウス特有の結果は得られなかった.そこで歯科用金属抗原に対する反応性の検討には,まず,正常C57B1/6マウス由来BMDCを用いることとした. 歯科用金属材料に含まれるNi,Co,Cr,Tiについて,BMDCとT細胞に対する細胞刺激能をMTT法と[^3H]Thymidineの取り込みにより検討した.in vitroで感作したT細胞の金属に対する増殖能とIL-2産生能は,Niに対して最大値を示し,Tiに対して最小値を示した.また,感作BMDCと感作T細胞の共培養実験においても同様の結果が得られた.今後,この培養条件におけるBMDCおよびT細胞上のケモカイン・ケモカイン受容体の発現を検討した後,肝臓,脾臓,皮膚由来DCについても同様の解析を加えることにより,局所免疫のクロストークの関与を検証する予定である.
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