2002 Fiscal Year Annual Research Report
オキサゾロマイシンの精密合成研究に基づくプロテアソーム阻害化合物の探索
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14657565
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
畑山 範 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20143000)
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Keywords | ベイリス・ヒルマン反応 / 不斉反応 / Brownクロチル化 / オキサゾロマイシン / ラクタム / 全合成 |
Research Abstract |
Streptomycesが産生する天然物であるオキサゾロマイシンがラクタシスチン活性体と類似したコア構造をもつことに着目し、オキサゾロマイシンに基づく新たなプロテアソーム阻害剤開発の可能性に興味を抱いた。そこで、オキサゾロマイシンのコア構造構築の方法論を確立し、種々のコア構造化合物を合成するとともにオキサゾロマイシンの全合成を達成することを目的に本研究に着手した。まず、最近我々が開発した不斉ベイリス・ヒルマン反応に基づき、オキサゾロマイシンのコア構造の合成について検討した。すなわち、様々なω-ホルミルアクリルアミド基質を合成し、その分子内不斉ベイリス・ヒルマン反応を詳細に調べた。その結果、N原子上の置換基Rが重要であり、R=H、Me、Bocでは環化反応は進行しなかったが、R=Tsの場合、環化反応が進行し50%以上の収率でラクタム体が得られてきた。しかし、その光学純度は、今のところ50% ee以下と低い。絶対配置は決定していない。また、別途にα-アミノアルデヒドの分子間不斉ベイリス・ヒルマン反応に基づくルートも検討した。その結果、N-Boc-アミノアルデヒドとヘキサフルオロイソプロピルアクリラートとの反応において、反応時間を長くすると、一旦生成した付加体が環化し、ラクタム体が>95% eeの光学純度で生成することを見いだした。アミノアルデヒドの反応は反応機構面からも興味深く、一連のN-Boc-アミノアルデヒドの反応結果から、N原子上のHがアルデヒドおよびキラルアミン触媒との間の水素結合ネットワークをとおして、反応加速および立体選択性に重要な役割を演じていることが判明した。以上の結果より、オキサゾロマイシンの合成に必要な高度に官能基化されたラクタムの合成が可能となった。一方、TRISから出発し、Brownの不斉クロチル化、位置選択的なアセトニド転移、化学選択的酸化を経るルートを開拓し、オキサゾロマイシンの鍵中間体の合成に成功した。
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