2002 Fiscal Year Annual Research Report
中性pHにおいて尿酸の溶解を促進する薬物の探索に関する基礎研究
Project/Area Number |
14657570
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
嶋林 三郎 徳島大学, 薬学部, 教授 (20025703)
|
Keywords | 尿酸 / ヨウ素 / 吸着 / 痛風 / 結晶膨潤 / 結晶崩壊 / 電荷移動錯体 / 尿路結石 |
Research Abstract |
1.溶液中でアミンの窒素が孤立電子対を提供することによって、ヨウ素分子と相互作用することが知られている。このことを念頭におきつつ、本研究においては窒素原子をもつ水難容性化合物である尿酸結晶とヨウ素との相互作用について界面化学的な見地から考察を試みた。その結果以下のような成果が得られ、ヨウ素の吸着にともなって尿酸結晶が緩み、面間隔が大となることがわかった。 2.KIをヨウ素の溶解補助剤として使用し、ヨウ素の尿酸表面への吸着量を測定した。その結果、ヨウ素は尿酸結晶表面へ吸着すること、しかしその吸着量はKIの添加量とともに低下すること、がわかった。このことは溶液中と同様に固/液界面においても電荷移動錯体形成の機構で、窒素原子とヨウ素分子とが複合体を形成することを意味している。 3.この複合体形成が及ぼす効果について考察した。吸着層の厚みは、尿酸結晶の比表面積を考慮に入れると、吸着量最大において1000分子層以上になった。しかしX線粉末回折法においてはこの多層吸着にともなって期待されたヨウ素結晶は全く検出されなかった。一方、尿素結晶の面間隔が吸着量とともに大になることが観察された。このことは、ヨウ素が尿酸結晶表面へ多層吸着するのではなく、尿酸結晶面の間隙に浸入すること、すなわち吸着にともない尿酸結晶が膨潤することを意味している。 4.尿酸結晶への吸着と膨潤は、結晶の崩壊を期待させる。予備実験によればヨウ素原子をもつ化合物、エリスロシンBあるいはローズベンガルは吸着にともない尿酸結晶の平均粒子径を小にしている。すなわちヨウ素化合物は吸着により尿酸結晶を微粒子化させる潜在的な能力を持っていることがわかった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 嶋林三郎: "Formation of intermolecular complex and polymer-drug interaction on the surface of hydroxyapatite in an aqueous phase"Phosphorus Research Bulletin. 13・1. 21-30 (2002)
-
[Publications] 嶋林三郎: "Cooperative adsorption of nonionic and anionic surfactants to the surface of hydroxyapatite in an aqueous phase"Phosphorus Research Bulletin. 14・1. 39-46 (2002)
-
[Publications] 嶋林三郎: "ヨウ素の尿酸結晶への吸着にともなう尿酸結晶の崩壊"第55回コロイドおよび界面化学討論会講演要旨集(日本化学会コロイドおよび界面化学部会編集). 55・1. 348 (2002)