2002 Fiscal Year Annual Research Report
膜七回貫通型のヒト・アドレナリン受容体の結晶化とX線結晶構造解析
Project/Area Number |
14657579
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 能雅 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (30150014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 隆太 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (70272482)
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Keywords | 七回膜貫通型受容体 / アドレナリン / 膜タンパク質 / X線結晶構造解析 / 構造生物学 / 糖鎖 / 蛋白質発現 / メタノール資化酵母 |
Research Abstract |
細胞膜をαヘリックスが貫通する膜七回貫通型受容体は,アゴニストと特異的に結合して活性化し,細胞内にリガンド結合の情報を伝達する。本研究では,この受容体で代表的なヒトβ2アドレナリン受容体の三次元構造をX線結晶構造解析により明らかにし,その機能の薬理学的な理解を得るために,結晶化に向けた,受容体を高純度で大量に調製する方法の構築を目指した。 3年次の計画の研究の初年度として,アドレナリン受容体の発現レベルの改良,糖鎖の均一化処理と精製の手順を探った。まず,既に得ていた,ゲノム中に発現ベクターを組み込んだメタノール資化性酵母を10L規模のファーメンター装置で培養し,受容体を発現させた。受容体の安定性を維持するためにアンタゴニストを培養の段階で添加し,蛋白質発現を誘導するメタノール量などを最適化し,発現レベルを高めた。 発現量が培養と精製のたびに大幅に変動した。これは,放射性リガンドを結合アッセイに使用しているため,その結合性と測定の方法に起因することが判った。そこで,リガンドを膜画分に低温で長時間インキュベートすることにより,定量的にアッセイできるようにした。培養細胞を細胞破砕装置を用いて処理し,沈殿として得られる膜画分を高収率で得るための条件を調べた。破砕後に結合活性が急速に失われてしまうので,種々のプロテアーゼ阻害剤の添加,膜蛋白質の可溶化条件の検討,破砕を行う器具とその使用条件の最適化により,受容体画分の安定性を高めた。 糖切断酵素を用いて,受容体に付加されている不均一な糖鎖を,効率良く均一に短糖鎖化した。これにはエンドグリコシダーゼHfが有効であった。今後は,発現ベクターの改良と,精製に用いるクロマトグラフィー条件を種々検討し,結晶化用の大量サンプル調製を進める計画である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Y.Nitanai, Y.Satow, H.Adachi, M.Tsujimoto: "Crystal Structure of Human Renal Dipeptidase Involved in β-Lactam Hydrolysis"J.Mol.Biol.. 321. 177-184 (2002)