2003 Fiscal Year Annual Research Report
ジスルフィド結合で閉じた小ループの導入による系統的なタンパク質の高機能化戦略
Project/Area Number |
14657593
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
栗本 英治 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (90234575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 晃一 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20211849)
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Keywords | protein / dislfide bond / stability / protein disulfide isomerase / circular dichroism / mutation |
Research Abstract |
タンパク質分子への新たなS-S結合導入は安定性向上の有効な手段であるが、分子の柔軟性を減じて機能低下を起こすことも多い。そこで、アミノ酸配列上で近接した位置にシステイン残基のペアを導入し、分子のフレキシビリティを損なわない小ループを形成するS-S結合により、タンパク質の安定化・高機能化を図った。 実験には、主に好熱カビProtein Disulfide Isomerase(PDI)を用いた。好熱カビPDIはaドメイン内部に小ループを形成するS-S結合を持っが、aドメインと相同なa'ドメインは相当するS-S結合を有しない。そこで、a'ドメインの相当位置にS-S結合による小ループ導入を行った。用いた変異体は[A398C, P404C]、[A398C,D405C]などの二重置換がなされたものである。これらの小ループ導入変異型PDIについて、CDスペクトル測定により熱安定性の解析を行った。その結果、[A398C,P404C]PDIでは、小ループ導入により安定性の向上が認められ、Tmは約1.2℃上昇した。一方、[A398C,D405C]PDIでは顕著な熱安定性の向上は認められなかった。小ループが導入された部位の構造を調べるために、多次元NMR法によりその3次元構造を決定した。その結果、a'ドメインは典型的なチオレドキシンフォールドを形成していること、導入した変異箇所は分子表面より突出したループ上に位置することが明らかとなった。これより、上述の2つの変異体の熱安定性の差を立体構造的観点から解析することが可能になった。その他、parkin ubiquitin-likeドメインの3次元構造の解析も行った。本研究における小ループの機能と構造の相関解析は、今後種々のタンパク質へS-S結合の導入を図る際に、有益な示唆を与えるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)