2002 Fiscal Year Annual Research Report
オリゴヌクレオチドによる免疫応答の改変に関する研究
Project/Area Number |
14657594
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
新槙 幸彦 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (90138959)
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Keywords | 免疫応答 / Th1 / Th2バランス / アトピー性皮膚炎 / CpG・ODN / 経皮投与 / サイトカイン / IgE |
Research Abstract |
ヘルパーT細胞(Th)のサブセットであるTh1とTh2のバランスは免疫調節に重要な役割を担っており,このバランスの破綻は種々の免疫疾患の発症に深く関わる.アトピー性皮膚炎(AD)ではTh1/Th2バランスはTh2優位に偏向していることが知られている,CpGモチーフと呼ばれる塩基配列を含む約20塩基程度のオリゴDNA (CpG-ODN)は,マクロファージやT細胞に作用しIL-12やIFN-γを産生し,Th1優位な免疫応答を誘導することが報告されている.本研究では,Tape-strippingしたマウス皮膚から抗原およびCpG-ODNを投与し,抗原に対する免疫応答の改変について検討した. Tape-strippingにより角質層を剥離したBalb/cマウスの皮膚にモデル抗原OVAやダニ抗原を塗布し,それら抗原に対する免疫応答を,サイトカインおよび抗体産生を指標に検討した.抗原単独投与の場合と比較し,CpG-ODNの併用により,マウス脾臓細胞からのTh1の指標であるIFN-γの産生は上昇し,Th2の指標であるIL-4の産生は減少した.また,IL-4により誘導されるIgEの産生も低下し,IFN-γにより誘導されるIgG2aの顕著な産生が観察された.さらに,OVA塗布後のリンパ節中の種々のサイトカインやケモカインmRNAの変動についてRT-PCRで検討し,Th2由来のIL-4,IL-5,IL-13およびmacrophage-derived chemokineのmRNAの発現の上昇がCpG-ODNの併用により低下したことを認めている.CpG-ODNの投与ルートについて,皮膚,静脈内および腹腔内の3つの経路で比較し,皮膚からOVAとともにCpG-ODNを投与した場合に最も高いIFN-γ産生が誘導された.このように,抗原とともに経皮投与したCpG-ODNは免疫応答をTh1優位に偏向させることから,Th1/Th2バランスがTh2優位に偏向することによって発症する疾患に対して,CpG-ODNは核酸医薬として期待できる知見を得た.
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