2003 Fiscal Year Annual Research Report
新しい血圧情報に基づく高血圧地域コホート研究における薬剤疫学的・医療経済学的研究
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14657600
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今井 潤 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (40133946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 光伸 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30282073)
大久保 孝義 東北大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (60344652)
辻 一郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20171994)
橋本 潤一郎 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (50333795)
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Keywords | 医療経済 / 自由行動下血圧 / 白衣性高血圧 / 逆白衣性高血圧 / 家庭血圧 / 脳心血管死亡 / 疫学 / 大迫研究 |
Research Abstract |
(目的)高血圧(HT)診療は予防医学である。HT診療の医療経済効果はスクリーニング・診断・治療に関わる直接・間接経費と一次・二次予防によってもたらされる利益の差から求められる。高血圧診療のgold standardはなお外来随時血圧(CBP)にあるが、今日HT診療に自由行動下血圧(ABP),家庭血圧(HBP)が導入され、白衣性高血圧(WCHT)、逆白衣性高血圧(RWCHT)の存在が明かとなった。もしもWCHTが長期にわたり無害なものであるなら、治療に関わる直接・間接経費は不要である。一方、RWCHTが有害なものであれば、介入により脳心血管疾患の予防がなされ、結果として、大きな医療経済効果をもたらす。 (方法)平成14年度実績報告書で記した方法により、大迫住民2821人の各年代層におけるHBPとCBPの関係から、本邦における各年代層のWCHT,RWCHT,過降圧,適正血圧群に分類し、CBPからHBPへの診断法の移行による医療費変動の推移を推計した。 (結果)国民医療費の概況と循環器病基礎調査に基づき、高血圧診療費年間135242円/年、このうち年間薬剤費を56802円とした。更に以下の仮定でできた医療費を計算した。(1)スクリーニングでHTと診断されたものの30%が受診する。(2)HBP導入による降圧薬の増減は±50%。(3)無治療CBP正常の10%がHBPを測定する。以上の仮定に基づきCBPからHBPへHTの診断基準が移行したと仮定すると、診断上ではHTが増加し、即時的影響として医療費は5051億円/年増加する。しかし診断の変化により、本来増薬されるはずであった薬剤費と、新規に必要であったはずの医療費が計6121億円/年回避される。また、HBP導入により的確な血圧コントロールがなされることで高血圧合併症である脳心血管疾患の15〜35%が予防されると考えられ、4644億円/年の合併症医療費及び2621億円/年の合併症介護費が削減される。よって家HBP導入により約8000億円/年の医療費が削減されると推定される。 (考察)HBP導入は、極めて費用効果は高く、HBPの更なる普及が望まれる。今後間接費用等も仮定に加え、更にマルコフ分析を導入し、医療費用を検討していく。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 舟橋仁, 大久保孝義, 今井潤: "高血圧とEBM:費用対効果の分析システム"血圧. 10(12). 1307-1311 (2003)
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[Publications] Imai et al.: "Japanese Society of Hypertension Guidelines for Self-monitoring of Blood Pressure at Home."Hypertens Res. 26. 771-782 (2003)
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[Publications] Imai et al.: "Heart rate measurement and outcome."Blood Press Monit. 8. 53-57 (2003)
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[Publications] Pickeirng T, Imai Y et al.: "An international database of prospective ambulatory blood pressure monitoring studies."Blood Press Monit. 8. 147-149 (2003)
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[Publications] Fujiwara T, Imai Y et al.: "Study design of HOMED-BP."Clin Exp Hypertens. 25. 143-144 (2003)
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[Publications] Hashimoto J, Imai Y et al.: "Therapeutic effects of evening administration of guanabenz and clonidine on morning hypertension."J Hypertens. 21. 805-811 (2003)