2002 Fiscal Year Annual Research Report
アンチセンス発現アデノウイルスを用いたトランスポーターの薬物体内動態制御機能評価
Project/Area Number |
14657615
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
辻 彰 金沢大学, 薬学部, 教授 (10019664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崔 吉道 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (40262589)
玉井 郁巳 東京理科大学, 薬学部, 教授 (20155237)
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Keywords | トランスポーター / オリゴペプチド / アンチセンス / アデノウイルス / ノックアウト / 薬物体内動態 / 遺伝子発現 / CMVプロモーター |
Research Abstract |
本研究は、アンチセンス遺伝子を利用して遺伝子をin vivoで一過性にノックアウトすることにより種々トランスポーターの寄与を評価する方法論を確立することを目的とした。 モデルトランスポーターとして、オリゴペプチドトランスポーターPEPT1 cDNAの翻訳開始点付近約300bpをCMVプロモーター配列に対して逆方向に配置した発現カセットをアデノウイルスベクターに組み込んだ。作成したアンチセンス遺伝子発現組換えウイルスの、PEPT1 mRNA発現に対する効果を、PEPT1を安定発現するHeLa細胞(HeLa-PEPT1)を用いて検討した。HeLa-PEPT1におけるPEPT1 mRNAの発現をRT-PCRにより検討したところ、アンチセンス発現アデノウイルスの添加によりPEPT1 mRNAは顕著に低下した。同様にペプチド輸送活性に対する効果を放射性標識グリシルサルコシンの細胞内取り込みにより評価したところ、その輸送活性は顕著に減少した。以上の結果より、PEPT1の遺伝子発現および輸送機能を抑制するアンチセンス遺伝子発現コンストラクトが作成できたと考えられた。 トランスポーターのin vivoにおける役割を検討するためには、組換えウイルスが効率良く臓器に感染する条件を定めておく必要がある。アデノウイルスベクターはin vivoにおいて肝臓で最も効率良く遺伝子を発現できることが知られている。そこで、肝臓にPEPT1が発現していないことに着目して、PEPT1の全長cDNAを発現する組換えアデノウイルスを作成し、in vivoでの遺伝子発現を指標にin vivoでの遺伝子発現効率を検討した。その結果、1×10^<10>PFUのPEPT1発現ウイルスを投与したマウスの肝臓において、顕著なPEPT1 mRNAおよびタンパク質の発現が認められた。PEPT1の基質である放射性標識カルノシンを静脈内投与し30分後の肝移行性を検討したところ、正常マウスと比較して約7倍に上昇することが確認された。これらの結果から、本ベクターシステムを用いることによって、in vivoにおいてもアンチセンス遺伝子を発現できることが示された。
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Research Products
(1 results)