Research Abstract |
研究初年度で構築した療養環境における空気の質を二酸化炭素濃度や温度,湿度,一酸化炭素濃度も含めた精密連続測定することで評価するシステムについて,精度の確認試験を行うとともに,システムの数を2セットに増やして,2箇所同時測定を可能とした。これを用いて,実際に使用している病室での測定を開始した。S大学附属病院の同一フロアにあるP科病棟及びG科病棟で同時測定を継続して行い,必要なデータを収集した。同時に,研究協力者である看護師2名を中心に,測定時の一般的状況と看護作業さらに看護者の意識について聞き取り調査を行い,詳細な検討への資料を得た。 前年度に,本システムの療養環境への影響などを精査しシステムの改良などを実施しているが,実際の運用では,患者,家族や医療従事者などに予想外の不安や反応が生じ,現在,これらを克服し可能な限り詳細な測定,調査が出来る方法・手続を,技術面のみならず倫理面からも再検討をしている。この問題に明快な解を得ることで,実際の病室で徹底した科学的な調査を実施する場合の留意点や手法などが確立され,今後の研究に資することが期待される。この結果については,研究最終年度にまとめて報告する予定である。 上述の調査によると,病室の空気の環境は,部屋の機能による差異,看護者の介入や患者の行動などによる違いが明らかで,現場の看護師等に大きな示唆や問題提起がなされた。この中で,新たな調査手法(協力者による連続観察および環境体験など)が提案され,次年度実施の方向で,倫理面も含んだ検討を行っている。また,看護者の療養環境についての意識に関するアンケート項目の内容も吟味され,対象者に対する倫理的配慮について検討した上での実施を準備している。これまでに述べた検討,特に調査対象に関する倫理的検討が済んだ段階で,結果をまとめて公表する予定である。
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