2002 Fiscal Year Annual Research Report
情報開示に対応した地域看護職の介入を明確にする質的評価指標の開発
Project/Area Number |
14657645
|
Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
長江 弘子 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (10265770)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 昌子 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (60236982)
川越 博美 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (50297066)
柳澤 尚代 新潟青陵大学, 看護学部, 助教授 (10310369)
宮崎 紀枝 聖路加看護大学, 看護学部, 助手 (50349172)
|
Keywords | 情報開示 / 保健師 / 記録管理 / 実態調査 |
Research Abstract |
本年度は、保健師を対象にした全国調査を実施し、情報開示の実態を把握し、その対策と保健師記録の現状を明らかにすることを目的として行った。研究班の結成は、その構成メンバーに行政機関で働く保健師を含め、また保健師の現任教育の専門機関である国立保健医療科学院の研究者および大学で保健師教育を行っている教育・研究者を組み合わせた研究班とした。情報開示について実態を調査する上で、実現可能な研究方法について検討した。また、その一方で、成果公開で示したように、「保健師記録の研究会」をベースにした活動成果を専門雑誌の連載として掲載し全国の保健師への啓発を行った。これらの活動から、全国10数ヶ所における保健師研修に講師として携わり、その結果、調査協力の同意が得られた市町村の実態調査を行うことができた。実態調査を実施する際には、市町村の匿名性を確保し、結果公開の方法について確認した上で実施した。現在のところ、10ヵ所の市町村から同意が得られ、約200部回収している。分析結果、1)情報開示に対応した取り組みの現状:情報開示条例や開示規定について「存在は知っている」(80.1%)「開示の手順は知っている」(44.0%)と低く、内容の周知率は低い。また開示請求を受けたことがある(13.4%)で、開示した事例は12例となっており、開示請求や開示事例は少ない。開示事例の領域と対象となった記録物に関しては、精神領域(35.9%)母子領域(25.6%)であり、開示対象となった記録は訪問記録・相談記録だった。2)保健師記録の作成・保管管理・破棄の実態:(1)記録の作成については、記載要領もしくはガイドラインがない(89.9%)、決まった記録様式がない(75.3%)、記録に関する指導者がある(3.0%)であった。記載上の疑問として「個人に任されていて、書き方が統一されていない」(75.0%)、「ケースの継続支援のとき、問題点や支援計画が不明瞭である」(50.0%)が多かった。記録の改善の必要性については「あり」(48.6%)で改善が必要な記録の種類は「相談記録」「支援計画記録」が挙げられた。本年度は、さらなる分析を進め、今後は現状を反映した対策を現場の保健師とともに考える。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 長江 弘子: "歴史を振り返ると見えてくる保健師記録の論点"保健婦雑誌. 58・1. 62-71 (2002)
-
[Publications] 柳澤 尚代: "情報開示と保健師記録"保健婦雑誌. 58・2. 154-160 (2002)
-
[Publications] 長江 弘子: "グループを記録の視点で分類する"保健婦雑誌. 58・8. 700-706 (2002)
-
[Publications] 長江 弘子: "現場で共有する記録のコンセプト"保健婦雑誌. 58・11. 974-981 (2002)
-
[Publications] 柳澤 尚代: "デイケア記録のポイントは目的にそったPlan/Do/See"保健婦雑誌. 58・1. 882-891 (2002)
-
[Publications] 長江 弘子: "保健師の思考過程と記録様式との関係"保健婦雑誌. 59・2. 159-166 (2003)