2003 Fiscal Year Annual Research Report
礁斜面で発見された沈水鐘乳洞が示す現成サンゴ礁形成の古環境と年代
Project/Area Number |
14658022
|
Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
中島 洋典 有明工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (90172303)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
管 浩伸 岡山大学, 教育学部, 助教授 (20294390)
|
Keywords | 沈水鍾乳洞 / 鍾乳石 / 古環境 / 年代測定 |
Research Abstract |
本研究の目的は、最終氷期以降の現成サンゴ礁地形の形成過程を示す、完新生の海面上昇を中心にした古環境の一部を、礁斜面に形成された沈水鍾乳洞内の二次生成物を分析することにより明らかにしようとするものである。 この目的に従い、研究2年目である本年度は、研究実施計画書に記載したように、音響探査機器を用いて、調査対象地域周辺の地形・地質に対する野外調査を実施する予定であったが、使用予定の器材が石灰岩地域の探査には不向きであることが事前に判明したため、昨年度久米島南部の礁斜面に分布する沈水鍾乳洞(ヒデンチガマ)で得られた鍾乳石の分析を中心とした研究を行った。この鍾乳石が沈水した年代を知る指標として、表面に付着していたDimyella属という沈水洞窟のみに生息する二枚貝のC14による年代測定を2サンプル行った。その結果得られた値はBP880±40年とBP3260±40年であった。この2つの値の差は最終氷期に形成されたと考えられるこの鍾乳洞のその後の水没期間を表すものではあるが、海水準の変動による水没開始の年代を示しているとは考えられない。この結果、鍾乳石の形成過程や海水準上昇による鍾乳石の水没年代等の古環境の復元には、鍾乳石を形成する石灰岩の科学的分析が必要であることが判明した。しかし、その分析に必要なウラン系放射性同位元素の使用が現在国内でかなり制限されているため、海外の大学・研究機関も含めて分析を依頼できる組織を模索している。 その他、調査地域の周辺のサンゴ礁の発達状況や地殻変動の特徴を知るために、以前に採集していた年代測定サンプルの科学分析を実施し、多くの測定値が得られた。また現地調査として、分析サンプルの鍾乳石が得られた地点に潜水して、深度等の測量と地形の記録を行った。
|