2002 Fiscal Year Annual Research Report
運動による生体損傷を防止する炭酸化性物質の影響とその相互作用
Project/Area Number |
14658033
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Research Institution | Hyogo University |
Principal Investigator |
辻 悦子 兵庫大学, 健康科学部, 教授 (70192193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 幸文 兵庫大学, 健康科学部, 助手 (50341029)
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Keywords | 運動負荷 / 血中脂質 |
Research Abstract |
本研究では、異なる強度の運動負荷に対して脂質過酸化の変動と抗酸化ビタミンの影響を検討し、運動と生体内抗酸化機構を明らかにすることを目的とした。 本年度は、ラットを用いて強度の異なる運動を負荷して、血中・肝脂質やリポ蛋白質の変動を検討した。設備備品として実験動物用運動負荷装置を計上していたが、発注後業者による製作時間がかかり納品が遅れたため、実験計画を一部変更して行った。即ち、運動として遊泳運動による血中脂質等への影響を調べた。非運動の安静対照群に対し、1回30分、週5回、4週間の遊泳運動群を設けた。飼料は高コレステロール血惹起飼料とした。2群間に体重差が無いよう飼料摂取量を調整したため、安静対照群に比べ遊泳運動群では体重は同じだが、心臓重量は増加傾向であった。血中コレステロールは対照群に比べ遊泳運動群で実験期間終了後に著しく低下した。電気泳動によるHDL分画は有意に増加し、LDL・VLDL分画は著しく減少した。このことはあまり強度の強くない遊泳運動でも、継続することにより血中脂質の改善が見られることを示していた。結果の一部は日本体力医学会で発表した。次に購入した運動負荷装置を用いて高コレステロール血惹起飼料を与えたラットによる実験を行った。安静対照群に対し運動負荷装置による中等度強度の運動負荷群、遊泳運動負荷群を設け、5週間とした。血中総コレステロールは運動負荷群で有意に低下した。2つの実験共にビタミンE・過酸化脂質等を今後測定予定である。 既に我々は、高強度運動を負荷したラットでの肝障害とビタミンE量の低下を報告したが、これは運動による生体内酸化障害を示唆するものである。今後、中等度の継続運動下でのビタミンEや過酸化脂質の変動を検討することにより、運動と生体損傷の関連を明らかに出来ると考えられる。
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