2002 Fiscal Year Annual Research Report
第二次世界大戦期の科学教育の再検討と再評価-新しい研究アプローチの確立-
Project/Area Number |
14658046
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
磯崎 哲夫 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (90243534)
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Keywords | 第二次世界大戦期 / 普通科学カリキュラム / 科学エリートカリキュラム / 科学系人材開発 / 研究アプローチ / 科学特別学級 |
Research Abstract |
本年度は、以下の2点を中心に研究を行った。 1.科学英才教育の実態把握と普通科学教育との日英比較検討 第二次世界大戦期におけるわが国の普通科学カリキュラム(目的・目標、学習内容、学習方法)に関する資料収集と分析を行った。また、科学エリートカリキュラムに関する資料収集を試みたが、現段階では必ずしも普通科学カリキュラムと比較できる程度の量ではない。非常に限られた範囲における両カリキュラムの特色の一つは、学習内容に「ものづくり」の視点が組み込まれている点である。次にでのフィールドワークにおいて次のことが明らかとなった。まず、わが国のような第二次世界大戦期とは必ずしも区切るより、1944年を境に科学教育に関する新しい動向がでていること、わが国の科学エリートカリキュラムは、中等学校ばかりではなく、初等教育レベルでも実施されていたが、イギリスの場合は中等教育に限られていること、などが明らかとなった。 2.広島高等師範学校附属学校における科学特別学級の実態解明 東京高等師範学校附属中・小学校に比べると、広島高等師範学校の場合は存在する資料がごく限られており、収集した範囲から、次のことが明らかとなった。特に、入学試験に関する回想から特別科学学級で求められていたのは、科学的知識の獲得以上に、科学的思考力が重視されていたこと、高等師範学校や文理大学教官が一部授業を担当しており学習内容は高度であったこと、付属小学校の場合はカリキュラムも2時間続きで授業を行うことが認められ柔軟な編成であったこと、等が明らかとなった。
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